まずは毎度毎度の価格の話から。

もちろんPXG 0311 GEN3アイアンは値が張る。とはいえ1本たったの425ドルだ。皮肉っているわけではない。

11月にPXG創設者のボブ・パーソンズと話したときはまだ価格は決定しておらず、500ドルあたりになると思われた。そこから考えれば既に15%の値引きだ。

もちろんわかっている。PXGは高い。おそらく今後も高いままだろう。そういうものだと受け入れればいいだけだ。

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「価格に対する不平は気にしていない」とPXGの創設者でありCEOのボブ・パーソンズ氏。「不平を言っている人々はそもそも我々のターゲット層ではないので」。まだ文句がある貴方はPXG以外のクラブを探すべきだということだ。

また、PXGの存続に対する懸念はもう捨てて構わない。

PXGは2年、3年、4年、いや5年もたないと主張する者も多かったが、その議論はもう終わった。

昨年、PXGは『Inc. Magazine』の“最も急成長している500社”に選出された。これでパーソンズが創設した企業が選ばれるのは3度目だ。

小売店も何店舗かオープンするし、従業員解雇の噂も結局は噂でしかなく、逆に社員数は増加した。

PXGはしっかりと根を張ってゴルフクラブを売り続ける。どこかの誰かさんをムカつかせる価格帯のクラブを。価格について延々と語ることもできるが、もう引き時だろう。

吹っ切って前に進み、PXGの最新作についての技術的側面を見てみよう。


 

3つのモデル

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GEN3のテクノロジーについて詳しく見ていく前に、まずそれぞれ特徴的なアイアン3種についての説明から始めるべきだろう。

昨今のアイアンセットに違わず、GEM3も各人に最適なセットになるよう、種々さまざまな組み合わせを駆使して設計されている。

モデルによってロフト角は異なるので、混在させる場合は何度刻みにするかをフィッターと相談して決めることになる。


 

0311 GEN3 T

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TはTour(ツアー)モデルの意味で、3モデルでは一番コンパクト。最も薄いトップラインに狭いソール幅、オフセット度合いも最も控えめだ。

また、短めのブレード長により、3モデルで最も寛容性の低いクラブになっている。

もちろんこの部門の標準からすれば、Tは決して寛容性が低いアイアンではない。ただ、PやXPと比べるとかなり難しく感じるだろう。

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※スペック表<GEN3 0311 T>

番手 / ロフト角 / ライ角 / クラブ長さ(インチ) / バウンス角 / オフセット(インチ)

 

名前からわかるように、上級者用だがツアープレーヤーレベルの力量である必要はない。つまり、プロが使うものよりスピン量が多く、扱いやすいということだ。


 

0311 GEN3 P

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PはPlayers(プレーヤー)の意味で、3モデルの真ん中に位置する。

Pの持つ飛距離性能に寛容性、扱いやすさのバランスは、読者の多くにしっくりくるはずだ。

トップラインの厚みはほどほどだが、面取り加工をしているため分厚さは感じない。

Tに比べてソール幅は少し広めでブレードも少し長め。そのおかげでTよりも慣性モーメントが13%増となっている。

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※スペック表<GEN3 0311 P>

番手 / ロフト角 / ライ角 / クラブ長さ(インチ) / バウンス角 / オフセット(インチ)

PはXPより小さめだが、小さいと感じる者は少ないだろう。このデザインに、寛容性をもたらす多くの要素が含まれている


 

0311 GEN3 XP

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XPはEXtreme Performance(エクストリーム・パフォーマンス)の意味。

本シリーズではXF(EXtreme Forgiveness=エクストリーム・フォーギブネス)の後継となる。

名称は変われど、ゲーム・インプルーブメント(やさしさ重視)の立ち位置は同じだ。

PXGによると、XPは飛距離性能と寛容性を最適化したモデルだという。

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※スペック表<GEN3 0311 XP>

番手 / ロフト角 / ライ角 / クラブ長さ(インチ) / バウンス角 / オフセット(インチ)

 

0311 GEN3 Pと比べるとトップラインは厚いが、Pと同じく面取り加工のおかげで分厚さは感じにくい。

ソール幅は広く、ダフらずミートしやすいアイアンとなっている。ブレードも長めだ。

とはいえあまり大きさを感じさせないようPXGは上手く作っているし、Pよりも慣性モーメントが10%もアップすることを考えれば、さほど気になる大きさではない。

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寛容性はPXGのクラブ開発における重要な要素だ。

「オフセンターヒット時、我々の製品ならフェースのかなりの部分でボール初速をキープすることができる」とPXGのプロダクト部長、ブラッド・スワガート氏は語る。

「慣性モーメントや皆がいつも話題にするオフセンター時のパフォーマンスを高める要素というものは構造に起因するものだが、我々の技術をもってすれば他にもミスヒット時のエネルギーロスを防ぐ方法はある」。

GEN3には寛容性が最も高いオーバーサイズの0311 GEN2 SGIの後継モデルはない。GEN2 SGIはそのまま継続する。

3モデルの基本情報をお伝えしたところで、それぞれの設計とテクノロジーについてより詳しく見てみることにしよう。

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鍛造の5段階

ヘッドサイズは違うものの、3モデルの基本的形状は同じだ。

最終形状に至る過程は複雑で、8620スチールをヘッドの最終形状にするまでには5つの段階を経る必要がある。

PXG製品の価格が高い理由が知りたい人はよく読んでほしい。

PXGの言う5段階の鍛造工程とは、アイアン1本に5つの金型を使うということ。

誤解のないように言うと、1モデルにつき5つではなく、アイアン1セットにつき5つでもない。

4番アイアン1本を作るのに5つの金型、5番アイアンを作るのにさらに5つの金型が必要だという意味だ。

つまり膨大なコストをかけているということ。

なぜ小さいブランドに左利き用の鍛造の選択肢が少ないか、しつこく不平を言う人にもわかるだろう。その理由はズバリ、金型のコストだ。

「不当に高くしているわけでも尊大なわけでもないとわかってもらいたい」とスワガート氏は言う。「我々はただ徹底的に優れた製品を作りたいだけ。そしてその実現には金がかかるということを」。

金型ひとつにかかるコストは1万ドルだ。3モデルで9本のクラブを3セット、それぞれに5つの金型、さらに右利き用と左利き用が必要となる。

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GEN3において最も目立つ設計要素はクラブの裏側、台形状に張り出した部分だ。

0311STアイアン含め他のマッスルバックアイアンでは、スイートスポットの後ろに重量を持ってくることで本来のマッスルバックのパフォーマンスが得られる。

GEN3の中空構造はしかし、張り出し部分が窪みを形成し、新たなデュアルコア素材のためのスペースを作り出している。

さあ、もっと突き詰めていこう。

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インパクトリアクターとエクストリーム・デュアルコア・テクノロジー

PXGの新アイアンにおけるテクノロジーの“コア(核)”は、その名もデュアルコア・テクノロジー搭載のインパクトリアクター・テクノロジーだ。

言っておくけど俺が名付けたわけじゃないからね。メルトダウンして破裂してドカーン!といかないことを願うよ。

ごめん。調子に乗りすぎたな…。

ゴルファーなら、デュアルコアと聞いて思い浮かべるのはボールだろう。そしてその発想は悪くない。

ボールのデュアルコア設計では、異なるコンプレッション特性を有する2つの素材を組み合わせることでパフォーマンスを最適化している。

PXGの新素材も同様の原理だ。

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※上記画像説明

0311 GEN3アイアン

デュアルコア・テクノロジー搭載、新インパクトリアクター・テクノロジー

高強度、高CORのポリマーアウターコア:極めて薄く高性能のスチールフェースに構造的な安定性をもたらす

極めて高CORのソフトポリマーコア:フェース充填度を上げ、蓄えたより多くのエネルギーをインパクト時のボールに伝える。と記載されている。

 

PXGの初代0311アイアンでは熱可塑性エラストマー(TPE=thermoplastic elastomer)を採用、フェースの強化、打感の向上に寄与していた。薄いフェース面のおかげでより速いボール初速が得られた。

GEN2アイアンで採用されたCOR2素材はそれよりも少し硬かった。

ボールに伝わるエネルギー効率が多少高まり、初速も増したが、打感は硬かった。

主観的かつ個人的にはGEN2の打感のほうが好みだが、多くの人が前作の打感を好むのだろう。

GEN3の特許素材は、異なる2つの長所を備えるものだという。

PXG曰くデュアルコア設計ではフェースに必要な構造的安定性をもたらす高強度の外層を採用し、内部のより柔らかい素材は振動を抑えながらも(よりよい打感)、充填の量をコントロールできるようになっている。

個人的な感覚では、GEN3の打感はGEN2よりもGEN1よりもいい。

PXGのディレクター兼シニアデザイナー、マイク・ニコレットは、インパクトリアクターの搭載により本来なら新アイアンはGEN4と呼ばれるべきだったと言う。「性能の進化を一世代飛ばしたからね。飛躍的に良くなった」。

彼自身、ニューアイアンで約7ヤードも飛距離がアップしたという。

「自分は62歳。若くなることはない。とすれば、今の状態をキープするにはよりよい道具に頼るしかない。そしてこれこそがその道具なんだ」。

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※上記画像は、0311 GEN3アイアンの性能比較

(画面上から)0311Pを基準に見てほしい。

ボール初速(MPH=マイル毎時)→「秒速=m/s」表示にすると0311Tは̠-0.89m/s、0311XP は+2.24m/sとなる。

打ち出し角(度)

スピン量(RPM=毎分回転数)

弾道の高さ(ヤード)

キャリー飛距離(ヤード)

総飛距離(ヤード)

 

さて、性能の向上はどこからきているのか。

PXGによれば、新素材はフェースのたわみをCOR2の倍以上生じさせ、ボール初速を0.89〜1.34m/s上げることができるという。

同一条件で比較(同じロフト、同じシャフト)した結果は5〜8ヤード増だ。

自分自身もフィッティングでは初速が上がり4ヤードちょっと飛距離が伸びた。ヤボな説明だ。実際に飛距離が変わるのだ。

この新しいデュアルコア素材とは実のところ何なのか?知りたくてもここでは満足な答えは得られないと思ってほしい。

言えるのは、内部素材の感触や弾性はちょっと「スーパーボール」っぽいということ。

残念ながら、その素材は「注入」できないということと、ヘッド内部に配置するのは難しいということ以外、PXGは詳しい説明をしていない。


 

HT1770フェース

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以前と同じく、PXGはフェース素材にHT1770マレージングスチールを採用した。

この手の金属学の話は退屈なので、ざっくり述べて終わりにしよう。知っておくべきことは、この素材は極めて耐久性に優れているということ。

それをPXGの新しい粘着質の充填剤と組み合わせると、ゴルフ業界で最も薄い、わずか1.5mm厚のフェースが出来上がるということだけだ。

この手のことは見過ごされがちで、あまり意味がないと思われがちだが、業界がとにかく薄いフェースを作ろうと躍起になっていることを思えば、これは注目するに値することなのだ。

初代0311アイアンが発売されてから4年半かそこらで、どのメーカーのフェースも薄くなっているとはいえ、PXGほどの薄さを達成したメーカーはない。

フェースの内側にはCNCミルド加工の外周域を採用、その部分を1.2mmまで薄くすることができた。

これにより充填が可能になり、フェースに充填することでオフセンターヒット時にボール初速を保つ助けとなる。

「ミスしてもオオゴトにならないんだ(笑)」とスワガート氏。自分もそう思う。

フィッティング時、何度もトゥヒットしたが、ボール初速も飛距離もかなりよかった(特にXPで)。Tではそこまで堪えられなかったが。

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CNCミルド溝

CNCミリングの溝はスピン量の最適化が話題の中心となるウェッジに採用されることが多いが、適正なスピン量を保つことはアイアンの性能においても不可欠な要素であることは言うまでもない。

昨今のストロングロフトのアイアンならばなおさらだ。また、正確性にかかわる部分でもある。

ミーリングがもたらす本当の恩恵は、公差が大きくならないということ、つまりエンジニアが目標をUSGAの設定する最大値にかなり近い数値に設定できるということなのだ。


 

サテンニッケル/クローム仕上げ

0311 GEN3アイアンは光沢を抑えたニッケル/クローム仕上げ。

アイアンコーナーでこれほど美しい仕上げのものは他に見当たらない。

なんでわざわざ話題に上げたかというと、これが唯一の選択肢だから。本モデルにエクストリームダーク仕上げはない。

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ロボットポリッシュ(研磨)

コブラのスピードゾーンドライバーについての記事を読んだ人には察してもらえるだろうが、複数の部品で構成されるものに関して、以前は接合部を手で磨いていた。

研磨作業というのはグラインドのちょっとした親戚みたいなものだが、相手が大きな塊のときは、グラインドは正しい手法とはいえない。

より精度の高い製品を安定して作り出すため、0311 GEN3アイアンのヘッドはすべてロボットによって磨かれている。


 

CNCミルドの裏面

GEN3アイアンの裏面はCNCミルド加工だ。ミーリング加工は現在大人気だし、内部にあるデュアルコア・テクノロジーでは語りきれない目に見える進化という意味でアピールする部分だが、実は性能的な利点もある。

クラブの裏側を磨くことにより、PXGは鍛造だけでは実現不可能なレベルでボディを薄くできるのである。

他の多くのクラブ設計においても出てくる話だが、つまりは本来不要な部分に費やされている重量を確保して、高性能化に役立つ部分にその重量を使いたいというわけなのだ。

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象徴的ウエイト

最後になったが、PXGの例のウエイトがなければ0311とはいえない。

PXGならではの佇まいを完成させるとともに、このタングステンウエイトはクラブバランスの調整に重要な役割を果たしている。

通常、チップウエイトを再配分すると重心位置およびスイートスポットをヒール寄りに動かすことになってしまうが、このウエイトならその心配もない。


 

ターゲットに見合った性能

通常、性能は一気には進化しないものだが、最終的な小売価格を気にせずに済むぶん、PXGのエンジニアたちは制約なしに最高のクラブを創ることだけに専念できる。

「コストを気にしていたら高性能化は望めない」とスワガートは言う。

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PXGが1円でもコストを安くしようと尽力したわけでもなく出来上がった1本425ドルのGEN3アイアンは、多くのゴルファーにとっては手の届かないものだが、ボブ・パーソンズはそれで全然構わないのだろう。

PXGの認識では、大量流通を目指さず、より個人的なアプローチを選んだ結果の高価格なのだ。「我々がどのように考えて製品を創り上げたかをあらわしている価格ではあるが、」とブラッド・スワガート氏は言う。

「我々はDick’sやSuperstoreでは決して得られない体験をゴルファーに提供しようとしているのだ」。

その体験については今までも、そしてこれからもPXGの話に出てくることだろう。

理解し納得したうえでプレミアム価格を払う者がいて、その一方で馬鹿馬鹿しいと思う者もいる。

いずれにしても、PXGの成功によって、実は世の中には既製品では飽き足らず、もっとずっと個性的な製品を求める消費者が数多く存在するのかもしれないという疑念は植えつけられた。

貴方がそうかもしれない。そうじゃないかもしれない。いずれにしても、PXGはそういう存在なのだ。

PXGの0311 GEN3アイアンは現在入手可能。小売価格は1本425ドル。


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