第3四半期財務報告:キャロウェイおよびアクシネット〜主な注目ポイント
・キャロウェイの第3四半期の売上高は9億8,800万ドル、純利益は3,850万ドルに達した
・新生トップゴルフ・キャロウェイ・ブランズは、2022年に40億ドル近い売上を達成する見込み
・アクシネットの第3四半期の売上高は5億5,800万ドルに達し、利益はほぼ5,200万ドルとなった
・アクシネットは、2022年の売上高を約22億5,000万ドルと予想している
ゴルフの2大上場企業は、2022年の第3四半期に正式に決算を迎えた。アクシネットと新たにブランド名を変更した「トップゴルフ・キャロウェイ・ブランズ」が、PING(ピン)やテーラーメイド、コブラ、その他企業とは同じ土俵で闘っていないということは、誰もがわかることだ。
他のみんながチェッカーで遊んでいるときに、彼らはチェスをプレーしている、その程度の差ではない。アクシネットとトップゴルフ・キャロウェイが3次元のチェスをしているのに、他のみんなは「Chutes and Ladders(60年前からあるボードゲーム)」で遊んでいるくらいの開きがあると言ってもいいだろう。
あるいはババ抜き。
子供向けのカードゲーム「Go Fish」かも。
それでも言い足りないぐらいの差がある。
ビッグネームの財務に関する我々のこれまでの記事同様、この巨大企業2社がどのように業績を上げているか、深く掘り下げていこう。
数字が好きな人にはたまらない内容だろう。但し、事前に言い訳させてもらうと、我々は金融の専門家でもなければ投資カウンセラーでもない。我々は皆さんとなんら変わらない。ゴルフ (ビジネス面を含む) が大好きで、読み物が好きなだけだ。
第3四半期の財務報告:トップゴルフ・キャロウェイが波に乗る
今年初め、キャロウェイは「トップゴルフ・キャロウェイ・ブランズ」として再ブランド化をはかった。トップゴルフを完全所有してから1年余り、その理由は明らかだ。キャロウェイは2020年後半にトップゴルフとの合併に合意し、2021年3月にその契約を締結した。
2020年の年次報告書によると、キャロウェイの年間売上高は16億ドルを計上。パンデミックの年であったにもかかわらずだ。これらの数字はパンデミック以前の2019年とほんのわずかの差しかない。
トップゴルフの影響もあって、キャロウェイの2022年第3四半期の売上高は9億8,800万ドルを超えた。
あ、ごめん。正しくはトップゴルフ・キャロウェイ・ブランズの売上高が9億8,800万ドルを超えた、だ。
しかも、たったの3ヶ月でね。
「この記録的な第3四半期の業績こそ、当社の事業の強さと、あらゆるセグメントにおいて高い競争力を有することの証明だ」とCEOのチップ・ブリュワーは先週、株主に語った。「最新のゴルフエコシステムへの関心と関与が引き続き推奨される状況下で、トップゴルフの来場者数は増加し、ゴルフ用品部門およびアクティブライフスタイル部門の売上も好調だった」。
この新しい現代のゴルフエコシステムにおいて、トップゴルフ・キャロウェイの3つの事業部門すべてが今年、前例のない売上高に達する見込みだ。「トップゴルフ」単体の売上高は15億6,000万ドルを超えると予想されている。
「ゴルフ用品部門」は14億ドルに達すると予測されており、「アクティブライフスタイル部門 (トラヴィス・マシュー、ジャック・ウルフスキン、オジオなど)」 も10億ドルを超えると予測されている。
その結果、トップゴルフ・キャロウェイは2022年の年間売上高予測を39億8,500万ドルに上方修正することとなった。トップゴルフでホリデーパーティーを1〜2回余分に開催すれば、この数字は40億ドルを超えるかもしれない。
「40億ドル…」だぞ!!
第3四半期:詳細
9億8,850万ドルの売上高は、過去最高を記録した昨年の第3四半期から15.4%増となった。さらに、トップゴルフ・キャロウェイは、昨年の1,600万ドルの GAAP(一般会計原則)上の純損失と比べると、四半期で3,850万ドルの純利益を計上している。
このレベルにおいては、四半期ごとの損失は通常、償却が必要な利子やその他諸々に関連している。ちなみに同社は昨年、2,600万ドルの非GAAP純利益を計上した。
そして今年の非GAAP四半期純利益は4,460万ドルだ。
具体的には、トップゴルフの収益は昨年から26%増の4億1,350万ドル。この四半期のアクティブライフスタイル部門の売上高は2億7,800万ドルを超えたが(19%以上の増加)、ゴルフ用品部門の売上高は2.5%増にとどまり、3億ドルをわずかに下回った。
首を捻るような話だが、そこには軽減事由がある。トップゴルフ・キャロウェイによると、クラブの売上髙は第3四半期に実際に3%以上減少したという。しかし、それはボールの売上高が25%増加し、四半期で7,500万ドルを超えたことで相殺された。同社によると、軽減事由には輸送費の増加やその他のインフレ圧力が含まれるとのことだ。
但し、最大の軽減事由は通貨換算にある。
第3四半期の財務報告:為替変動問題
最近、海外旅行をしたアメリカ人なら、間違いなく驚くべき為替レートを楽しんだことだろう。現在、ドルは外貨に対してとてつもなく強い。旅行者にとってはありがたいことだが、米国を拠点とし、海外で大きな取引をおこなっているメーカーの場合、これはある種の障害となる。
トップゴルフ・キャロウェイによると、為替レートの変動は第3四半期の収益に5,000万ドルのマイナス影響を及ぼし、ゴルフ用品部門にとっての大きな打撃となった。このような状況下で株主の動揺を防ぐのに、企業は恒常通貨ベースを採用してより明るい絵を描くという手をよく使う。
恒常通貨は、基本的に前年度の為替レートに固定するもの。トップゴルフ・キャロウェイの場合、ゴルフ用品部門の売上は2.5%増加したが、恒常通貨ベースでは実際には9.3%増となる。為替変動さえなければゴルフ用品の販売実績は“大幅に増加”していただろうと同社は述べている。
年初来の数字は、トップゴルフの収益が11億3,000万ドルを超え、セグメント利益は7,400万ドル超となった。
今年の最初の9ヶ月間のクラブ売上高は10億ドル弱(前年比11%増)、年間のボール売上高は2億5,700万ドルで、昨年比27%増。アパレルの売上は4億5,700万ドル(36%増)で、ギアおよびアクセサリー(帽子、グローブ、バッグなど)の売上は3億3,200万ドル(25%増)だった。
第3四半期の財務報告:アクシネットクルーズの推移
アクシネットは、トップゴルフ・キャロウェイのテールランプが小さくなっていくのを遠くから眺めている。しかし、トップゴルフ・キャロウェイが本格的なゴルフライフスタイルとエンターテイメントの“エコシステム”であるのに対し、アクシネットはゴルフブランドだ。そして、それは変わっていない。
アクシネットの第3四半期の売上高は5億5,800万ドルを超え、昨年から7%増、恒常通貨ベースでは13.5%増となった(アクシネットはすべてを恒常通貨で報告している)。同社は第3四半期の利益を5,200万ドル近くと発表しており、これは2021年の第3四半期に比べて32%近く増加している。
「アクシネットは、恒常通過ベースの売上が13%以上増加し、すべてのセグメントで成長が見られるなど、第 3四半期にかなりの業績をあげた」とCEOのデイビッド・メイハー。「我々のビジネスは為替変動による逆風や投入コストの上昇の影響を受けないわけではないが、製品開発、サプライチェーンの卓越性、イノベーションへの継続的な投資が、株主に長期的な価値を提供できると確信している」。
年初来の売上高は18億2,000万ドルに達し、昨年の最初の9か月間で5.5%増となった(恒常通貨ベースでは10.5%増)。年初来の利益は1億9,900万ドル。昨年から3%減となったが、アクシネットによると、これは営業利益の減少によるものだという。
第3四半期:詳細
アクシネットは、この四半期のゴルフクラブの売上高は1億5,400万ドルであると発表した。これは恒常通貨ベースでは20%近い伸びとなる。年初来のクラブ売上高は4億7,900 万ドル (恒常通貨ベースで12.5%増) となった。
第3四半期の売上高が1億8,100万ドルを超えたアクシネットは、引き続きボール売上で世界をリードしている。これは、恒常通貨ベースでは13%の増加だ。
しかし、年間ボール売上高は5億4,600万ドルにとどまり、これは恒常通貨ベースで4%の増加にすぎない。アクシネットは、ボール事業の原材料不足に悩まされてきた。 第3四半期の結果は、これらの不足が解消されつつあることを示している。
タイトリストのゴルフギアの売上は、第3四半期に27%増(恒常通貨ベースでは35%)の5,900万ドルで、フットジョイの売上は1億3,200万ドルに達した。これは、為替の問題により売上が4.5%減少したことを表している。恒常通貨ベースでは2.5%の増加となる。但し、年初来のフットジョイの売上高は5億700万ドルで、2021年から2桁の増加となった。
アクシネットとトップゴルフ・キャロウェイの両者には、ひとつ評価できる点がある。それぞれが、販売量増加による伸びと価格上昇による伸びを識別しているのだ。
たとえば、アクシネットによると、年初来のボール売上の微増は、主に平均販売価格の上昇によるもの。但し、クラブ売上高の増加は、ボーケイ「SM9」ウェッジ、スコッティキャメロン「Phantom X(ファントムX)」パター、タイトリスト新「TSR」ドライバーとフェアウェイウッドの販売量が増加したことによる。
トップゴルフ・キャロウェイ同様、アクシネットは通期売上高予測を修正している。同社は現在、売上高が年末までに22億5,000万ドルに達すると予想しており、第2四半期の予測からわずかに上方修正されている。
第3四半期の財務報告から読み取れること
アクシネットとトップゴルフ・キャロウェイはゴルフ界の2大犬種だ。そして、犬についてご存知なら、巨大な犬は巨大な糞をすることも知っているはず。まあこの場合、最大の利益を示すということだ。しかし、興味深いことに、第3四半期における最大の犬は最大の利益を示さなかった。
アクシネットは5億5,800万ドルの売上で5,200万ドル近くを稼ぎ出した。トップゴルフ・キャロウェイは、9 億8,850万ドルの売り上げに対して3,850万ドルの利益を計上した。しかし、アクシネットがよりスリムで効率的な運営をしているに違いないと結論づける前に、この2社の性質を考えてみてほしい。
トップゴルフ・キャロウェイは、過去数年間でトップゴルフだけでなく、トラヴィス・マシュー、オジオ、ジャック・ウルフスキンを買収、合併、あるいは吸収している。さらに、インドアゴルフシミュレーター/カスタムフィッティング/ダイニングチェーンの「Five Iron Golf」も買収した。
これらの買収はすべて、トップゴルフの新店舗出店のための継続的な投資と同様、費用がかかる。一方、アクシネットは、ここ数年でKJUS(チュース)アパレルを増やしただけ。トップゴルフを除けば、アクシネットとトップゴルフ・キャロウェイは非常によく似た企業だ。
キャロウェイはより多くのクラブを販売し、アクシネットはより多くのボールを販売している。両社のアパレル、ギア、アクセサリーの売上は似たようなものだ。
もちろん、トップゴルフを方程式から外すことはできない。トップゴルフは、「Five Iron Golf」とともに、トップゴルフ・キャロウェイに単に食品や飲料、娯楽の収益源以上のものをもたらしている。実際のところ、彼らはゴルフ用品をカスタムフィットして消費者に直接販売するための直営店なのだ。
これは業界全体の流れを変えることになるかもしれない。
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