・スコッティ・キャメロンが新しい「スーパーセレクト」ミルドパターシリーズを公開

・新『デュアルミルド』フェースとシリーズの鍵となる「+(プラス)」モデル、さらに「GOLO(ゴーロー)」と「DEL MAR(デルマー)」が復活

・第1弾は2023年3月17日、第2弾は5月19日に発売、メーカー希望小売価格は449ドル


ミーリング(削り出し)の巨匠であるスコッティ・キャメロンが2023年の作品、スコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」パターシリーズを発表した。キャメロンファンの皆さん、キャメロンさんの「スペシャルセレクト」は、もはや“スペシャル”ではない。“スーパー”に昇格だぜ!

では、新パターシリーズと私がお伝えできる質問について話そう。


スコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」パターが“スーパー”であるワケは?

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では、今回のパターはどうやって“スーパー”になったのだろうか?当然の疑問だよね。アメコミのヒーロー見たいな突然変異?もちろんジョークだ。

「スーパーセレクト」の“スーパー”とは、いくつかある新しいパターの機能に基づいたことであり、その殆どは見た目だけでは良くわからないことだ。


新しい「デュアルミルド・フェースミーリング」

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パターのフェースミーリングは非常に興味深いデザインの底なし沼だ。実際のところ、パターのフェースをミーリング(削り出し)する製法は数多くあるが、ほとんどの人は、“溝”のようにフェースが明らかに削られたものでない限り、変化に気づくことはないだろう。

しかし、我々のようなパターマニアなら、“ミルドフェース”というワードで唯一普遍なことは、たいてい機械がフェース面を削った削り跡が残るということ。フライミルドやディープミルドも、サイズ、数、そしてミルド跡の深さにはワケがある。それに、跡が全くないものも存在する。

では、「スーパーセレクト」で採用された新しい『デュアルミルド』フェースとはどのようなものなのだろうか?

これは、ネーミングから分かるように2段階のミーリング工程を指す。まず、最初の工程はパターをディープミルドし、フェース素材を多く削り取る。これによりインパクトでの打感がソフトになるのだ。次にフェースを“スーパー”フラットにするため、薄く削る。

キャメロンによると、これにより「スーパーセレクト」は“これまでで最も安定したフェース”を実現するという。スコッティ・キャメロンのミルドパターフェースが大量に存在していることを考えると、かなり注目の発言だ。


「+(プラス)」ヘッド形状

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今回のスコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」シリーズで一番イケてる点は、3つの大型モデルが含まれていることだろう。昨年発売された限定版の「プラス」モデルを覚えている人もいるはず。私も試してみたいとすごく思っていたが、皆さんと同様、限定版キャメロンを手にするのはほぼ不可能なんだよね。

「+(プラス)」モデルは、従来のブレードよりも大きいが新しい「スクエアバック2」のような“大型”ブレードよりは小ぶりなサイズになっている。

購入するときは、「+」が“ミッドサイズ”であると覚えておこう。私もショップでこのモデルを見るのが待ちきれない。「プラス」が本当にミッドサイズに位置付けされるのか、それとも大きな「ニューポート」(=小さな「スクエアバック」)なのか?「スーパーセレクト」の「ニューポート2.5+」は特に魅力的に感じる。


新しいパフォーマンスウエイト

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新シリーズでは改良された重量配分も見逃せない。

一見したところ、新シリーズは前作のスコッティ・キャメロン「セレクト」シリーズと同じ重量配分だと思って簡単にスルーしてしまうだろう。ソールウエイトとプレートは前にもあったものだからね。ソールウエイトは相対的に重量をパターのエッジ(端)に配分するためであり、全てが同じようにも見える。

しかし変わった部分もある。キャビティのドットだ。ドットが大きくなって色がついていない。これによりパターの中心部が軽くなりエッジ側が重くなる。つまりMOI(慣性モーメント)が向上するということだ。

どのくらいか?個人的には若干。こうしたことが、ちょっとした進歩には違いないだろうが、前作から新作モデルに変えるなら、目に見える進歩が欲しいところ。

もう一つの変更点は「スーパーセレクト」のブレードには、前作「スペシャルセレクト」にあった『トライソール』が搭載されていないこと。キャメロンのマーケティング資料には、この変更について触れていないが、個人的に“トライソール”との相性は悪いので、これについては喜ばしいことだが…。


「I-BEAM」ホーゼル

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また、「スーパーセレクト」シリーズでは“新しい”『I-BEAM』ホーゼルを採用している。このホーゼルには溝があり、見た目の美しさがありながらも、この部分のウエイトを削減。イーブンロールも彼らの新作パターのネックに似たデザインを採用している。

特に言及されていないが、キャメロンはこの機能を、約1年前に他界したパターの巨匠バイロン・モーガンに敬意を表して搭載したのだろう。モーガンの「HI-BEAM」ホーゼルはこれに良く似たものとなっており、MyGolfSpyフォーラムで「Byron Hi-Beam Bombora longneck」の写真を何点かチェックできるはずだ。


おかしなネックのネーミング

ネックのネーミングについて少し言わせて欲しい。パターネックの名称に統一感というものは、もはや存在しない。最近は、各メーカーは一般的なネックデザインに独自の名称をつけがち。ネーミングは創作であり、結果的にユーザーを煙にまくことになっている。

キャメロンは、新しい「ニューポート」のネックを「プラミング(配管)ネック」と呼んでいる。これは自分がこれまで「プランバー(配管工)の」ネックと言っていたので気がついた。私が間違えているかも知れないので周りの人に聞いてみたところ、他の人たちは「プランバー」とか「プランバーズ」ネックと呼んでいた。イーブンロールでは「プランバー」(「ズ」はなし)。ベティナルディでは、「プランバーズ」(「の」ではなく「複数形」の方)と言っている。ちなみにテーラーメイドは「Lネック」ホーゼルで、PINGは当然ながら「アンサー型」ホーゼルと呼んでいる。

オデッセイはいくつか使い分けており、彼らのネックタイプを「クランクネック」、「H1」ホーゼル、「Lネック」としている。オデッセイ、いい加減にしろっての。

さらに「プランバーズ」ネックだけじゃない。他のホーゼルタイプもチェックするとまさにカオス。少し傾斜がついたホーゼルは「スラント」「フロー」「ジェット」「H4.5」「H7」「H5」って言うのかな?頼むからパターメーカーは、チャットのグループ機能を作ってネーミングのコンセンサスを取って欲しい。

ユーザーはきっと感謝してくれるはずだよ。


では仕様やネックの話はここまで。ここからは新作モデルを見て行こう。各モデルともキャメロン側からの説明にも沿ってふれて行こう。


スコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」第一弾:2023年3月17日発売

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「スーパーセレクト ニューポート」

「303ステンレススチール」を精密ミルドしたブレードで『I-BEAMプラミングネック』を採用した。「ニューポート」らしい丸みのある形状と『デュアルミルド・フェースミーリング』が特徴。タングステンから削り出した『可変式ソールウエイト』を搭載し、艶消しのステンレススチール仕上げになっている。


「スーパーセレクト ニューポート+」

スタンダードなブレードよりもやや幅広で丸みを帯びたステンレススチールモデルで、「6061アルミソールプレート」、「303ステンレススチール」フェース、そして「ステンレス」のソールウエイトを実績ある複合素材手法で融合させた高性能モデル。新らたに加わったサイズ感が最大の特徴となっている。


「スーパーセレクト ニューポート2」

シリーズの主力モデル。スッキリとしたスクエア感のあるメカニカルな形状で、ソリッドなフェースは「303ステンレススチール」ミーリング。カスタマイズ可能な「タングステンソールウエイト」、「トライフェース」デザイン、ツアーにインスパイアされた新しい『I-BEAM』プラミングネックと『デュアルミルド・フェース』テクノロジーが特徴。左打ち用もある。


「スーパーセレクト ニューポート2+」

「ニューポート2」よりもフランジやや幅広になっている。航空機使用グレードの「6061アルミソールプレート」と精密ミルドの「ソリッドステンレススチール」フェース、カスタマイズ可能なステンレスソールウエイトを採用し、「MOI(慣性モーメント)」を向上させた新形状となっている。


「スーパーセレクト ニューポート2.5+」

「スーパーセレクト ニューポート2.5+」は、フェースからフランジがワイドでMOIを高める形状、『デュアルミルド・フェース』テクノロジー、新しくなった『I-BEAM』スタイルのジェットネック、ソリッドな「ミルドステンレススチール」、航空機使用グレードの「6061アルミソールプレート」、そしてカスタマイズ可能なステンレスソールウエイトを採用。左打ち用もある。


「スーパーセレクト スクエアバック2」

「スーパーセレクト スクエアバック2」は、ワイドボディのミッドサイズマレット。高MOI、ソリッドな「ミルドパターフェース」に加え、「6061アルミソールプレート」、ステンレスソールウエイト、洗練された『I-BEAM』プラミングネック、そして『デュアルミルド・フェース』テクノロジーが特徴だ。


スコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」第二弾:2023年5月17日発売

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「スーパーセレクト GOLO(ゴーロー)6.5」

「スーパーセレクト GOLO(ゴーロー)6.5」は短めの『I-BEAM』ジェットネックを備えており、精密ミルド「303ステンレススチール」のソリッドフェース、航空機級の「6061アルミソールプレート」を搭載。シリーズ特有の『デュアルミルド・フェース』テクノロジーと「ステンレスソールウエイト」の「可変式ウエイト」も採用されている。また左打ち用もある。


「スーパーセレクト GOLO(ゴーロー)6」

「GOLO(ゴーロー)」が、「スーパーセレクト GOLO(ゴーロー)6」として新サイズで復活。精密ミルド「303ステンレススチール」の丸みがあるコンパクトマレットで、サイズは前作の「GOLO 5」と「GOLO 7」の間に位置する。

ミッドベンドシャフトと航空機級の「6061アルミソールプレート」を削り出したソールプレートを備え、シリーズ特有の『デュアルミルド・フェース』テクノロジーと『ステンレスソールウエイト』も搭載している。


「スーパーセレクト ファーストバック1.5」

「スーパーセレクト ファーストバック1.5」は、精密加工された新しい『I-BEAM』ジェットネックとシリーズ共通の新しい『デュアルミルド・フェース』テクノロジーを採用したミッドサイズマレットで、「ソリッドミルドパターフェース」と「6061アルミソールプレート」、そして「ステンレスソールウエイト」が一体化したモデルになっている。


「スーパーセレクト デルマー」

「スーパーセレクト デルマー」は、精密ミルド「303ステンレススチール」のフローネックのヒールシャフトコンパクトマレットで、「デュアルミルド・フェース」テクノロジーとカスタマイズできる『ステンレスソールウエイト』を搭載。左打ち用もラインナップしている。


スコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」パターシリーズ

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いかがだっただろうか?まじめな話、皆さんにちょっと聞いてみたい。新モデルの中で楽しみにしているものはあるかな?自分的には、第一弾の「+(プラス)」モデルと第二弾はほぼ全モデルを楽しみにしている。

とはいえ疑問もある。どうしてスコッティ・キャメロンは全モデルを一度にリリースしないのだろうか?これは推測になるが、マーケティングとミーリング(削り出し)加工を考えてのことなのかもね。恐らく、キャメロンの製造における機械のインフラでは、一度に全部を作るにはラインナップ数が多すぎるのかも知れない。

そして最後の疑問だ。現在「スペシャルセレクト」パターを使っているゴルファーの中で、現段階で「スーパーセレクト」に替えようと思っている人はどのくらいいるのだろうか?またその理由も気になるところ。

「スペシャル ニューポート」を「スーパーニューポート」に替えるだけの十分な理由が見つかったのだろうか?あるいは次の発表まで待ってから検討しようと思っているゴルファーもいるだろう。ではこの辺で、お互い次の発表を楽しみに待つとしよう。