ゴルフボールに関する質問にお答えします

この2週間ほど、ゴルフボールに関する質問を募集した。有難いことに1回では処理しきれないほどたくさんの質問が寄せられたが、今回その中からピックアップしたいくつかをお届けする。さてさてお楽しみ。質問への回答がなかったという貴方、どんどん送り続けてくれれば、第2弾があるかもしれない。

ではどうぞ。
ゴルフボール,質問,回答

質問(@richriker):ゴルフボールの性能はピークに達したのか?これからは製造コストの削減と価格の問題だけになるのか?

答え:すべてのゴルフ用品に言えることだが、素材の進歩によって得られる利益は常にあり、メーカー各社は打ち出し角とスピン量の特性を微調整し続けている。空気力学はゴルフボールの設計において最も解明されていない分野なので、例えば風に対する安定性の向上など、まだまだ改善の余地はある。また、ブランドが低コストでウレタンの性能に近づけようとしているため、アイオノマーカバーも改善されていくだろう。


質問(@LPCouz):例えば3~4年前の新品ボールは、年数が経つにつれて性能が落ちていくのか?それとも作られた当時と同じ結果になるのか?

答え:昔よりはマシになった。バラタ(ボールをカバーする合成ゴムの一種)では、液体のコアが蒸発するためボールは縮んで軽くなる。最近のソリッドコア(ウレタンカバーで マルチレイヤー)のボールは、時間の経過とともに硬くなっていくが、最終的には横ばいになる。3年間で10ポイントのコンプレッションの差があってもおかしくはない。レイヤーが変われば(例えば、コアが硬くなる)、必ずレイヤー間の関係性も変わるため、スピン特性にも多少の変化が見られるかもしれない。


質問(@craiglongmore):もし、残りのゴルフ人生で1つのゴルフボールしか使えないとしたら、何を選ぶか?

答え:僕の寿命があとどれくらいか知ってたりする?私はどちらかというとその日その日を生きるタイプ。タイトリストの「Pro V1x Left Dash」で満足しているので、もし早死にするならそれでいい。もし、あと数十年先ということになると、もう少し柔らかいほうがいいかもしれないから、スタンダードな「Pro V1」かな。


質問(@Golfbaka80):次のボールテストはいつ出るのか?

答え:ロボットテストのことかな。まだ計画段階だが、夏の終わり頃にはと思っている。


質問(@PHXLivin):どのくらいのハンディキャップで、最上位レベル(ProV1など)のボールを使うかどうかが重要になってくるのか?

答え:ハンデにかかわらずボール選びは重要だ。ハイハンデのゴルファーでさえ、ボールに出来ることを過小評価していると思う。とはいえ、ラウンド毎にボールを一定数なくしているのに、1ダースに40ドル以上もかけたくない気持ちはわかる。それでも、貴方が真剣にゴルフに取り組んでいて、少しでも上達しようと思っているなら、やはり低価格のウレタンカバー、つまり「コストコ」や「スネル」のボール、あるいは「LostGolfBalls.com」のようなところで売っている「状態の良い中古ボール」をお勧めしたいと思う。グリーン周りでの性能は、すべてのゴルファーが享受すべきメリットだからだ。


ゴルフボール,質問,回答



質問(@Eize50):プロは別のものを使用しているのか?

答え:イエスでもあり、ノーでもある。誰もがルール通りにプレーしているわけではないという例はたくさんあるが、少なくとも理論上はサイドスタンプが同じならボールも同じ。だからといって秘密のメニューがないというわけではない。ほぼすべてのブランドが、プロゴルファーのニッチなニーズに対応するために、ツアー限定商品をいくつか用意しているが、できるだけ多くのツアープロが小売りされているボールを使用することが望ましい。


質問(@jweinski):同じ種類のボールで、「マット仕上げ」と「通常仕上げ」における数値の違いは何か?

答え:「通常仕上げ」のボールが「適切な品質」であると仮定すると、最大の違いは、「マット仕上げ」のボールは「最低」で、「通常仕上げ」のボールはそうじゃないということ。言い過ぎと感じるかもしれないが、「マットレッド仕上げ」のような視認性がどうしても必要ではないのなら、ショットの「一貫性」をカラフルな「ファッション性」と引き換えにしていることになる。よく聞いてほしい。水分を含むと、「通常の光沢仕上げ」のボールと比較して、「打ち出し角が大幅に増加」し、「スピン量は大幅に減少」する。ゴルフには十分な選択肢があるのに、簡単に回避できるものを導入するのは愚かなことだ。マットボールを使っている友達に教えてあげてほしい。


質問(@SchlickD):自分に最適なゴルフボールを見極めるにはどうすればいいのか?

答え:様々な理論があるが、基本的な常識に基づいたアプローチ方法がいいと思う。ボールに求めるものは何か?今使っているボールに足りないものは何か。大多数の意見は、グリーン上からスタートしてドライバーに戻るというものだが、私は「消去法」を勧める。ボールの違いを見極めるより、そのボールに対する「不満」を見極める方が簡単だと思う。皆こぞってティーショットでの飛距離を求めるのは当然だが、「タイトリストの哲学」は、ボールは「アイアンやウェッジに合うもの」を、そして「ボールに合ったドライバーを選ぶ」というものだ。


質問(@AKHolms57):GolfSpyTは一度に何個のゴルフボールを口に入れることができるのか?

答え:一つだけ。驚かれるかもしれないが、文字通りの意味で、僕の口は小さいので。歯医者に行くのが苦痛なぐらい。

ゴルフボール,質問,回答

質問(@ryan_p_oneal):良いスコアで上がるためには飛距離が重要であり、コンプレッションの高いボールは常に飛距離が出ることを考えると、コンプレッションの低いボールでプレーする理由はあるのか?

答え:ない。

まあ正解はもう少し微妙な感じになる。まず、多くのゴルファーにとっては「打感」が第一であり、それが柔らかいボールを選ぶ十分な理由であることを認識しておこう。性能の観点では、特にアイアンにおいて、コンプレッションの低いボールによる「飛距離のロス」を「スピン量の軽減」で相殺できる場合がある。柔らかいボールはスピードに劣るが、ヘッドスピードが下がれば、必ずしも飛ばなくなるわけではない。過剰なスピン、特に過剰なサイドスピンに悩まされているなら、コンプレッションの低いボール(必ず低スピンになる)を使用することで、ティーショットで真っ直ぐの球を打てるようになるかもしれない。

また、コンプレッションによる“デメリット”が問題にならないほど最小になるポイントがある。2019年に実施したテストのデータによると、ヘッドスピードが35.76m/s付近では、柔らかいボールのスピード減はほんの僅かになり、「打ち出し角」と「スピン量」が「飛距離の方程式」のより重要な部分を占めるようになる。

ゴルファーは、コンプレッションの低いボールはほとんどの場合が「高打ち出し」で、必ず「低スピン」であることを理解する必要がある。つまり、十分なスピンが得られないゴルファーには“柔らかいボールは向かない”ということ。また、コンプレッションの高いボールにも同様の性能特性があるので、「高打ち出し」、「低スピン」を求める場合には、コンプレッションによる不利益を被ることなく、常にそれらを手に入れられるということも覚えておきたい。


質問(@Heyweb2):ヘッドスピードによって使用するボールのブランドを選ぶべきなのか。それとも他の要因のほうがより重要なのか?

答え:はい。ただし、おそらく貴方が考えているのとは違う意味で。ヘッドスピードが遅いゴルファーでも、インパクト時にはボールを圧縮しているので、ヘッドスピードを理由に柔らかいボールを選ぶべきではない。ゴルファーが知っておくべきことは、速く振れるゴルファーが自分のヘッドスピードに対して柔らかすぎるボールを選ぶと圧縮しすぎてしまうポイントがあるということ。そうなると、初速が落ちることになる。ツアーでは、コンプレッション85以下のボールはあまり見かけない。アベレージゴルファーはもう少し低くても大丈夫だが、ドライバーのヘッドスピードが44.70m/s以上で振っている場合は、圧縮しすぎは当然の懸念材料となる。


ゴルフボール,質問,回答

質問(@ChauncyHarrison):「AVX」は何故あまり話題にならないのか?私は常に高弾道とスピン量に悩まされてきたが、「AVX」は弾道を低くするのに大いに役立っている。もっと人気が出てもいいと思う。

答え:いくつかの理由がある。まず、タイトリストには「AVX」に近いところに位置するボールが他に2種類ある。「AVX」は誰にとっても優れた性能を有すると考えられるが、「Pro V1」と「Pro V1x」では、「AVX」1個に対して10個近くのボールが売れている。もう一つの要因は、他のプレミアムソフト製品と競合するように販売されているという(シニアやヘッドスピードの遅いゴルファー向けという意味合いがある)その性能特性の現実のせいで、よりニッチな商品となっていることだ。このカテゴリーの他のボールは高打ち出しで低スピンの傾向がある。ご指摘の通り、「AVX」は低打ち出し、低スピンなので、球が高すぎて過剰なスピンをかけてしまう人には有効だが、一般的な「ソフト派」が求めるものではない。

この設計の良い点は、この珍しく低めのコンプレッションが、ヘッドスピードの速いプレーヤーにとっては、低/低の組み合わせで過剰なスピン量を相殺し、意外と飛距離を出すことができるということだ。


ゴルフボール,質問,回答

質問(@RobertBarber64):初級者や週末ゴルファーが、高額なツアーボールの価格に見合うだけのウェッジスピンを実際に行えるのか?

答え:もちろん!

先に述べたように、「ツアー」カテゴリーの中にも「低価格」の選択肢がある。性能に関して言えば、ウェッジのスピンはツアーレベルのスピードではなく、ボールコンタクトの「質」から生まれるということをゴルファーが認識することが重要だと思う。グリーン周りでのショット(65ヤード以内とする)は、基本的にどのゴルファーにとっても同じ。グリーンまわりでのスピン量を増やすことが目的であれば、2ピースの安物は捨ててよし。アイオノマーで覆われたボールを使用している、ドライバーを適度にコントロールできるゴルファーは、「視認の必要性」を別にすれば、柔らかいウレタンカバーの多層構造ボールに変更することで、かなりのスピン量増を享受できるはずだ。