今シーズンのスケジュールが予定通りだったら、例年のようにWedgeworks の2020年新作第一弾はマスターズ開幕時に発表されていたはず。

同時にそれは、ハイロフトでローバウンスのロブウェッジで、ボーケイの使用プロたちがオーガスタの硬くて速いグリーンコンディションに対応する上で不可欠なギアであったはずだ。

昨年4月はストレートブルーフィニッシュのウェッジの「Tグラインド(ロフト64度、バウンス角6度)」を発売。ところが今年の4月は何にもなかった。全くなし。とにかく、良いとこなしだった。

マスターズが11月に延期されカールスバッドにあるボーケイの工場も閉鎖ともなれば、何もないのが当然といえば当然?

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しかし、5月下旬から6月に向けて、タイトリストの組立工場のボーケイエリアを含め様々なことが再開されつつある。だから、全てが元どおりという完璧なトーナメント開催がないにも関わらず、同社では、2020年の初のスペシャルリリースとなるボーケイWedgeworksの「Kグラインド」で前進しようというわけだ。

11月まで待つ意味なんてないってことだ。


 

Wedgeworksについて

Wedgeworksの主な特徴は、主要ラインナップにはないバウンスとグラインドの組み合わせを提供していることだ。

昨年4月に発売されたロフト角64度の「Tグラインド」はそれに当てはまり、58度と60度の「Kグラインド」は一見すると現行のSM8シリーズに含まれるとも思えるだろうが、今回のボーケイ Wedgeworksの「Kグラインド」は、特に、標準的な市販モデルと対照的な魅力があるモデルと言えるだろう。

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SM8のハイバウンス 「Kグラインド」

市販されているSM8の「Kグラインド」は単なるハイバウンスウェッジではない。SM8シリーズの中で一番バウンス(14度)があるウェッジだ。そして今回のWedgeworksと同様に、SM8の「Kグラインド」にはロフト58度と60度があるがデザインの細かい部分が異なる。

一般的に「Kグラインド」はダウンスイング時の入射角が鋭角になるゴルファーにマッチし、「Kグラインド」の特徴であるワイドソールは特に地面が柔らかいコンディションでザックリを防ぐ。バウンスだけ見ると、滑りやすいウェッジと言えるのだ。


 

ボーケイWedgeworksの「Kグラインド」について

Wedgeworksの「Kグラインド」は、SM8のようなワイドソールではあるがバウンスが非常に小さい(6度)。ザックリをそれなりに軽減することはできるだろうが、バウンスが小さいとリーディングエッジは地面に近くなる。つまり、4月上旬のジョージアの温かい気候の時にツアープロが経験するドライな地面、タイトなライ、そしてフワフワのバンカーに合うウェッジだ。

「Dグラインド」がハイバウンスを好むプレーヤー向けのウェッジなら、このWedgeworksの「Kグラインド」はそのプレーヤーのローバウンスオプションと言える。

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ボーケイのマーケティングディレクターを務めるジェレミー・ストーン氏は、今回の新作を「Wedgeworksが何であるかを完璧に具現化している」と言及。

トム・カイトからインスピレーションを受けアダム・スコットのお気に入りとなったローバウンスの「Kグラインド」は、SM8の市販モデルにはなっていないがボーケイの中ではツアーで最も人気のグラインドなのだ。

ボーケイが、今回のウェッジの対象ゴルファーはいると確信しているとはいえ、ハイバウンスバージョンとともにこの新作をSM8シリーズに加えることで、ゴルファーが自分には合わないウェッジを選んでしまう可能性もあるだろう。

恐らく、こうしたことは現在市場にあるどんなクラブでもあり得ることだが、ウェッジのグラインドには注意が必要であることを辛うじて理解しているゴルファーは、ワイドソールを求めるしバウンス効果を期待しているはずだ。

「Kグラインド」のポイントは、常に謳い文句どおりのパフォーマンスを発揮することにある。

どれもそっくりだが、ざっと見た感じはそうは思えないもののハイバウンスはハイバウンスらしい性能を見せ、ローバウンスはローバウンスウェッジらしいパフォーマンスを実現するのだ。

一方、今回のモデルを市販モデルから外せば、上記の分かり難さも緩和されるだろう。

その点では、ローバウンスの「Kグラインド」とタイトリストの「PRO V1xレフトダッシュ」を比べることは理にかなっている。ともに万人受けはしないし、誰もがその存在を知ることもないが、自分のゴルフに役立つと分かっている(そして手に入れる方法を知っている)ゴルファーにとっては、市販モデルとツアー限定モデルの狭間にある魅力的なオプションといえるのだ。


 

ローバウンスの「Kグラインド」は誰向きか?

今回の「Kグラインド」が使えるかは、あなたがウェッジ3本(または4本)をセットとしているのか、別々に考えているのかによる。もし使用中のウェッジセットが単にアイアンの続きで、SWとLWを飛距離の違い程度と考えているなら、「Kグラインド」はあなた向きではないだろう。

一方、スイングは移り変わるというボーケイの主義主張に納得し、ゴルフバッグを、意図してセッティングしたクラブをしまう“道具箱”として考えているのなら、このまま話を進めても良いのかも知れない。

適当に買えというわけじゃない。(簡単ではないが)適正なウェッジフィッティングは今でも大切だし、あなたのスイングが打ち込み型でも払い打ち型でもその中間であっても、コースにはショットの選択肢がない時があるという現実を考えることもウェッジフィッティングの一部だ。

ゴルフの規則には、あるがままにプレーするというものがある。ウェッジとは、それを実行するためだけにあるのだ。

これが理解できれば、バウンス角をミックスさせることにもメリットがあるということがわかるはずだ。

Wedgeworksの「Kグラインド」でも「Lグラインド」でも、ローバウンスのウェッジをハイバウンスの「D」や「Fグラインド」のSW、あるいは他のウェッジと組み合わせて、フルショットでのパフォーマンスを損なうことなく、グリーンに近づくにつれて多才性を増やすことを目的とすべきだろう。


 

ボーケイWedgeworks「 Kグラインド」の価格

Wedgeworks 「Kグラインド」の価格は199ドル。通常のWedgeworks製品に比べるとだいぶ安価になっている。低価格なのは今回のモデルがWedgeworks限定である一方、基本的にSM8シリーズの拡大版だから。限定モデルではなく完売することもないだろう。

またボーケイのフィッターの何人かにはデモクラブが用意される予定となっている。ローバウンスの「Kグラインド」は2021年終盤まで発売される計画で、これはSM8シリーズの販売予測期間でもある。

199ドルという価格には全てのスタンプ(カスタムペイント)、カスタムフェラル、カスタムシャフトバンドが含まれる。トゥ部分の刻印(オプション6つ)とスイングウェイト調整は25ドル追加で対応可能だ。

行くところまで行きたい(さらに追加で75ドル払っても良い)なら、ボーケイのハンドグラウンド・プログラムで、トレーディングエッジを削ったりカスタムのツアーグラインドや、なんなら「Kグラインド」をローバウンスの「Dグラインド」にすることだって(ちょっと言ってみただけ)、とにかくさらなるカスタマイズが可能だ。

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Wedgeworks 「Kグラインド」のスペックと発売時期

ボーケイのWedgeworks 「Kグラインド」は、厳密にいえば発売スタートしているが、あなたも現実というものをしっかり理解しているはずだ。カスタムボーケイウェッジの通常納期は7日から10日だが、現状では4週間から6週間かかる。

SM8シリーズ発売後、間も無くして新型コロナウイルス関連で工場が閉鎖されたため、2月下旬から3月上旬のカスタムオーダーを待つユーザーがいる可能性は十分考えられる。

メーカーは営業を再開しているが、安全対策が実施されており、工場がフル稼働しているかは不明確。Wedgeworksの注文も割り込むことはできず、全ての受注は順番に製造されるはずだ。

Wedgeworksのローバウンス「Kグラインド(58度、60度)」はローフィニッシュとツアークロームフィニッシュがラインナップ。標準シャフトはトゥルーテンパーのダイナミックゴールドS200で、グリップはツアーベルベット360ホワイトだ。価格は199ドルから。ボーケイ販売店とvokey.comで注文可能となっている。