ゴルフ用品の世界には、『Most Wantedテスト(MyGolfSpy独自のランキング)』 や『バイヤーズガイド』では大きく取り上げていないが、「魅力あるギア」がたくさん存在する。これらの「隠れた名品」にどんな性能や機能が隠されているのか、読者の皆さんなら興味があるだろう。そこで、『We Tried it(トライ)』シリーズと称してこれらの商品を取り上げ、広告通りの性能が備わっているのか検証してみることにした。



トライした商品

アンダーアーマー「Spieth 5 SL」


「SPIETH 5 SL」とは?

これまで、「Spieth(スピース)シューズ」は「スパイク専門」だったが、2021年バージョンは「スパイク」ではなく、トレンドである「スパイクレス」を取り入れた。私のようなゴルフオタクにとって、まるで“ゴルフシューズがプレーに与える違いを熟知している”と云わんばかりのこの靴には多くの機能が備わっている。

滑りにくくフィット感を増す「3Dインソール」と、スイング中のエネルギーをロスすることなく伝え、地面にしっかり固定されるような感覚をもたらす「HOVR(ホバー)」(エネルギーリターン性能が高いクッションフォームエナジーウェブに包むことで力の分散を防ぎ、着地衝撃を推進力へと変換する)アウトソールフォームが特徴だ。

「Spieth 5 SL」 には、かかとが動く余分なスペースを作らず足を固定する「ヒールカウンター」もある。「TPU (熱可塑性ポリウレタン) ソール」は、一般的なゴムやニトリルソールと比較して、より「柔軟性」、「軽量性」、「耐久性」に優れている。防水加工を施せば、初の「スパイクレスSpiethゴルフシューズ」の出来上がりだ。


なぜ「Spieth 5 SL」を選んだか?

偶然?かどうか、この新スパイクレスシューズを履いてから数ヶ月間、ジョーダン・スピースがかなりの良いプレーを見せてくれたことが選んだ理由かもしれない。

「アンダーアーマー」はアメリカのアパレル業界ではトップに君臨している。最近では、イギリスでも市場シェアを獲得しているし、『Most Wanted』のスパイクレス、スパイクシューズテストにおいても一貫して優秀な成績を収めている注目ブランドだ。

とはいえ、「Spieth 5 SL」が市場に出回っている他のゴルフスパイクレスシューズと比べて“特別な差”があるといえるのだろうか?


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ゴルフシューズ専門家

私は、ハリー。プロのゴルフシューズテスターをしている。実際にMyGolfSpyで多くの商品をテストし、グローブ、距離計、バッグ、ボールなどの商品スペックを調査している時以外は、プロとしてプレーしている。ここでは、製品テストディレクターという肩書きだ。


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スパイクレス「Spieth 5 SL」を履いてみて

「Spieth 5 SL」の第一印象は? 他の「Spieth」シリーズと同様に、細長いルックスをしている。ルックスに問題はない。以前の「Spieth」シューズの靴幅はややタイトだったが、今回の「Spieth 5 SL」にはその狭さがない。私は足が比較的幅広だが、「5 SL」は快適で、足元は十分に安定する。

他のスパイクレスシューズと異なる点といえば、「スパイク/ラグ(凹凸)」だ。

この靴には、柔らかい「スパイク/ラグ(凹凸)」が搭載されており、トラクション(グリップ力)を失うことなく、ソールを動かしながら足を地面に固定させるのに役立つ。

タコの吸盤を想像いただければ、スイング中の「ラグの役割」がお分かりいただけるだろう。(吸着力と伸縮性があるために、体を中心に固定できるタコの胴体を想像してみてほしい。)圧力がかかるとラグが広がり、地面との摩擦を改善し、力強いスイング時でも滑りを防ぐ。



靴のタン(舌革)はボディー部分に装備され、よりフィット感がある。また、側面にまで広がる「アウトソール」により適度なサポート力が備わっている。

同社によると、「Spieth 5 SL」で最も注力したのは、従来同様“パフォーマンスを最優先する”ということ。では、実際の「Spieth 5 SL」の性能はいかに?


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実際に「Spieth 5 SL」を履いてみて

個人的には、スパイクレスシューズの中でトップ3に入る。しかし、圧倒的な商品かといえば、改善点はまだある。

それでは、その改善点をみてみよう。

カラー部分とトップラインは、足首の前部に向かってやや高めに設計されている。最初は足首に食い込むが、紐を数ホールあけると緩むので大した問題ではない。

サイズ的には、ハーフサイズ大きめだ。私は9号サイズだが、8.5号がぴったりで履き心地が良かった。繰り返しになるが、こちらも大した問題ではない。全体的なフィット感は良好で、内側のソックスタンがその点に役立っている。

ただ、インナーソックスタンの切れ目はどうしても感じてしまう。それは、つま先部分や TPU (熱可塑性ポリウレタン)アッパー部分(靴の底を除いた上の部分)に感じるため、やや煩わしい。

また、ヒールから中心部分にかけて使用されている表地は、時間が経つと汚れ、お手入れが大変かもしれない。


一方「Spieth 5 SL」 の優秀な点といえば、やはり「トラクション(グリップ力)」だ。以前の PGA TOUR イベントで、ジョーダン・スピースが取り外し可能スパイクシューズを履いているのを見たことがあると思うが、その記憶はおぼろげだ。54.98m/sのヘッドスピードでトップしても滑ったことは一度もない、といえば説得力があるだろうか。

他の「Spieth」シューズと同様、全体的な「安定性」には目を見張るものがある。ヒール全体を包み込む「ヒールカウンター」のおかげで、コンパクトで足元の安定を感じる。

また、「Spieth 5 SL」 には長年の『Most Wanted』テストで証明された快適な「HOVR」ソールが組み込まれている。個人的には、「5 SL」の快適性は、スパイクレスシューズ市場でも“最高レベル”にあると思う。

そこに素晴らしいデザインが加われば、最高性能シューズの仲間入りである。


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まとめ

アンダーアーマーは常に“性能第一”に考えており、「Spieth 5 SL」 も例外ではない。あらゆる面で優れた性能を発揮し、信頼できるゴルフシューズと言えるだろう。

では、なぜ「競合他社と比べて圧倒的ではなかった」と述べたのか? それは、「Spieth 5 SL 」には『ベストスパイクレスシューズテスト』で1 位にランク付けできない小さな問題があったから。確かに厳しくはあるが、ベスト中のベストになるには欠かせないことだ。

ただ、誤解しないでほしい。「Spieth 5 SL」は非常に優れた靴だ。もし第一希望のスパイクレスシューズが売り切れだったら、迷わずこの靴を買う。「Spieth 5 SL」には優れた「トラクション(グリップ力)」、「安定性」、全体的な「快適性」が備わっている。自分へのご褒美リストにこの靴を加えても良いだろう。

価格は 200 ドルで、「2年間の防水保証」が付いている。色は白のみだが、多くのゴルファーが好む色だ。