初めてゼロトルクパターをじっくり試したとき、最初に感じたのは、「自分でフェースを戻そうとする必要がほとんどない」ということだった。
長年ゴルフを続けてきた私にとって、ストローク中のフェースの動きをコントロールし、インパクトでスクエアに戻すのは当たり前のことだった。
ところが、ゼロトルクパターでは、フェースをスクエアに戻すための操作が明らかに少なく感じた。
この経験から、ゼロトルクを見る視点が少し変わった。
「ゼロトルクというテクノロジーは本当に効果があるのか?」ではなく、もっと重要なのは、「フェースの開閉を自分でコントロールする必要が減ることで、どんなゴルファーがメリットを得られるのか?」ではないだろうか。

MYGOLFSPYの「2026 Most Wanted テスト」には、それを考えるだけの興味深いデータがある。
ブレード、マレット、ゼロトルクの各カテゴリーで70本以上をテストした結果、平均PuttViewハンディキャップはゼロトルクが「-6.29」。マレットの「-3.99」、ブレードの「-2.65」を上回った。
さらに、テストした79本すべてをひとつのランキングにすると、上位15本をゼロトルクパターが占めた。
では、ゼロトルクはゴルファーの何を助けているのか。
そして、もっと重要なのは、あなたのパッティングにも、その助けが必要なのか?
ここから詳しく見ていこう。

MYGOLFSPYの2026年テストでは、総合ランキングの上位15本をゼロトルクパターが占めた。平均PuttView Handicapは「-6.29」で、パッティングが得意なテスターにも改善が見られている。ポイントは、ストローク中にフェースをどれだけ自分でコントロールしているかだ。
ゼロトルクパターは何を助けてくれる?
ゼロトルクパターが助けてくれるのは、ストローク中のフェースの向きを安定させることだ。
一般的なパターでは、シャフトとヘッドの重心位置の関係によってトルクが生じ、ストローク中にフェースが開閉しようとする。
ゴルファーは、その動きを自分でコントロールしながら、インパクトでフェースを狙った向きに戻す必要がある。
一方、ゼロトルクパターは、シャフト軸をヘッドの重心に近づけることで、ストローク中にフェースが開いたり閉じたりしようとする動きを抑えるよう設計されている。
たとえばL.A.B. Golfは、同社の「Lie Angle Balance」テクノロジーについて、ストローク本来のアークに対してフェースをスクエアに保ちやすくする設計だと説明している。
ここで誤解したくないのは、ゼロトルクだからといって、ストレート・バック&ストレート・スルーで振る必要はないということだ。
パターヘッドはストローク中にアーク(弧を描く軌道)を描いてもいい。
重要なのは、そのアークの中でフェースの開閉を自分で調整し、インパクトに向けて戻そうとする操作を減らすことにある。
パットの打ち出し方向には、インパクト時のフェース向きが大きく関係する。
だからこそ、狙ったフェース向きを繰り返し作りやすくすることが、ゼロトルクパターを使う大きなメリットになる。

ゼロトルクパターが合いやすいのはこんな人
パットの打ち出し方向が安定しない人なら、一度ゼロトルクパターを試してみる価値がある。
インパクトでフェースが開きやすい。手を使いすぎてしまう。狙った方向に安定してボールを打ち出せない。
こうした悩みがあるなら、ゼロトルクパターが助けになる可能性がある。
私自身、それを強く感じたのが、約20年間使ってきたスコッティ・キャメロンからオデッセイ「Ai-DUAL S2S #7」に替えたときだった。
長年使ってきたスコッティ・キャメロンでは、ストローク中にフェースがどう動くのか、そしてインパクトでスクエアに戻すために自分がどれだけ調整すればいいのかを感覚的に身につけていた。
ところがオデッセイ「Ai-DUAL S2S #7」では、自分でフェースを戻そうとするのをやめた方が、フェースの動きが安定して感じられた。
つまり、インパクトに向けてフェースを自分で調整する必要が減ったのだ。
パターのリリースをタイミングよく合わせようとしている人や、インパクトに向けて積極的にフェースを操作している人にとって、この違いは大きい。
パットが苦手な人だけのものではない
今回のテストで興味深かったのは、ゼロトルクで結果が良くなったのが、パッティングに苦手意識のあるゴルファーだけではなかったことだ。
パッティングが得意なテスターのひとりは、平均PuttViewハンディキャップがブレードで「-8.26」、マレットで「-9.11」だった。それがゼロトルクでは「-9.75」まで向上した。
別の上級テスターでも、ブレードの「-6.09」から、ゼロトルクでは「-10.97」まで良くなっている。
一方、パッティングを苦手としていたテスターにも大きな変化が見られた。
ブレードでは「+4.55」、マレットでは「+3.98」だった平均PuttViewハンディキャップが、ゼロトルクでは「-0.97」になった。
つまり、パッティングが上手いか苦手かだけでは、ゼロトルクが自分に合うかどうかは判断できない。
見るべきなのは、インパクトでフェースをスクエアに戻すために、自分がどれだけフェースを操作しているか。
そして、その操作を減らしたいかどうかだ。
ゼロトルクがすべての人に合うとは限らない
だからといって、すべてのゴルファーにゼロトルクが合うわけではない。
そう感じたきっかけが、Technologist「RP1 Pro」を試したときだった。
正直、テストする前はそれほど期待していなかった。
Technologistは、トルクを完全になくすことを目指しているわけではない。同社の「Hyper Balanced VLT」は、フェースの回転をある程度残しながら、その動きをコントロールする設計だ。
そして、私にはこれがかなり合っていた。
ストロークに合わせてフェースが自然に開閉する感覚はある。それでも、インパクトに向けてフェースを無理にスクエアへ戻そうとする必要は感じなかった。
フェースの動きを感じながらストロークできる。その感覚が、私には心地よかった。
この経験から、すべてのゴルファーが「できるだけトルクを減らすこと」を目指す必要はないと考えるようになった。
フェースが開閉する感覚を好むゴルファーもいる。
その動きをストロークのフィードバックとして使い、長い時間をかけて自分のストロークを作り上げてきた人もいる。そして、すでにインパクトでフェースを安定して戻せているなら、その感覚をあえてなくす必要はない。
ゼロトルクでも解決できないこと
ゼロトルクパターが解決しようとしている問題は、かなり明確だ。
インパクトでフェースを狙った向きに合わせやすくすること。
だからといって、パッティングのすべての問題を解決してくれるわけではない。
そもそも狙う方向がずれていたり、距離感が合っていなかったり、ラインを正しく読めていなかったりするなら、ゼロトルクに替えただけで大きく改善するとは限らない。
もちろん、それ以外の部分で良い変化を感じることもある。
私の場合、オデッセイ「Ai-DUAL S2S #7」に替えてから、打点が安定し、ロングパットの距離感も良くなったように感じた。
ただ、約9メートルのパットを2メートル近くショートしているからといって、私はゼロトルクパターを買おうとは思わない。
一方、インパクトでフェースを狙った向きに安定して戻せないことに悩んでいるなら、ゼロトルクパターは試してみる価値がある。



