ピンのブループリントアイアンが、名前で見れば従来からの脱却を示すものになることは前々から分かっていた。

同社の開発副部長のポールウッド氏によると、「(このアイアンは)R&Dの新機軸のちょっとした成果」とのこと。

これまでピンでは、Gシリーズがエンジョイ向けのクラブを担い、Iシリーズがある程度の寛容性を犠牲にし、より操作性を重視するという上級者のニーズを満たすクラブとしていた。

ブループリントは、様々な点でこれまでのアイアンとは全く異なるが、それでもピンのアイアンらしさが随所に備わっている。

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始まり

ブループリントの始まりは、独特というわけではなかった。大手メーカーは、ツアープロたちのフィードバックと有意義な見解を得るために日常的にコミュニケーションを取っている。

こうした情報の一部は、新商品を開発する上での基礎となり、その中のいくつかは市場でも出回るものだ。

ピンのスタッフが明らかにしたのは、プロがiBLADEよりも実用的なクラブを求めているということだった。

しかし、プロたちははっきりと伝えることはせず、「どんなクラブが良いのか、はっきりとは分からないが、使いやすいものにはなって欲しい」というような言い方をしていた。

ピンにとって、その答え(あるいはANSERというべきか?)は明らかだった。

それは、バッバ・ワトソンやルイ・ウェストヘーゼンのようなプレーヤーが求めるようなショットが打てて、クラブヘッドは小ぶりでより操作性に優れたアイアンだ。

というわけで、ピンは初めて100%フォージドのマッスルバックアイアンを開発した。

ピンのファンなら、同じく鍛造で作られた2010年と2012年のANSERアイアンを思い出すだろうが、これらのモデルは、i15のキャビティバックアイアンの形状などを継承している。


概要

ブループリントは、成熟したボールストライカーに最も適したニッチなクラブと言える。

やや寛容性が高いiBLADEアイアンよりもブループリントの方がパフォーマンスに優れているかを見極めるために、それなりの時間を費やす意欲のあるシリアスゴルファーが使うことが理想的だろう。

ゴルファーの中にはそのような方もいるはずだ。

ピンによれば、上級者(州アマタイトルを獲得していたり、メジャーに複数回出場していたり、メーカーと契約できるようなら、十分当てはまる)が、様々なショットをするように求められた時に(ミスが少なく)より安定した結果を出したという。

また面白いことに、ピンではブレードの長さを3つ用意したようだが、ターゲットプレーヤーがベストなパフォーマンスを発揮したのは、その中で一番短いものだったようだ。

つまり明らかなのは、このクラブは、お飾り用に買う人はいるだろうが、「寛容性に劣るクラブを使えば、ボールストライカーになれる」と思っている層に向けたものではないということだ。

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このアイアンは、2018年の秋にツアープロに向けて少量セットのみ支給された。

発売が決まり、一般ゴルファーにブループリントがどのように受け入れられるかは未知数。

ピンでは、このアイアンをフルセットで揃えるユーザーもいれば、ブループリントを扱うには難しいと感じより易しいクラブに戻る層もいると予測しているという。

また、ピンも既に分かっているツアーで確立されたコンボセットを、ショートアイアンでブループリント、その他の番手をiBLADE、i210、i500で組み合わせることも可能だ。

とは言え、ピンでは、シーズン中のタフなコンディションの元で世界のベストプレーヤーたちに試してもらいどのセッティングになるかをチェックすることが、ブループリントを判断する十分な根拠を集める唯一の方法であると考えているようだ。

となると、ピンがブループリントの次なるステップを見極めるのは、2019年後半になることが見込まれるだろう。

 

商品詳細

ブループリントは、8620カーボンスティールが素材のフォージドアイアンだ。1025や1020という聞き慣れたソフトカーボンスティールは採用していない。

というのも、ピンには、8620を採用した数十年に及ぶ鋳造技術があり、8620を使った方が理想的なパフォーマンスと打感の両立が可能になると判断したからだ。

硬質なメタルはより耐久性があり溝も長持ちする。そして、そもそも合金は硬目、柔らか目と定義されるわけだが、少なくともクラブの打感を決めるために重要なのはヘッドデザインなのである。

重心位置を変えることなく精密に重量をキープするため、ピンでは、チップ部とトゥの重量を活用し理想的なスペックを実現している。

タングステン・トゥ・ウェイトというと中空ヘッドを想起させるが、実際の目的は、重心をヒール寄りにすることなくスイングウェイトを調整させる重量をチップ部に追加できるようにするために採用されている。

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先述した通り、ブループリントはiBLADEよりも操作性に優れている。大切なことだが、操作性とはクラブフェースを操るために必要な力の作用をいう。

また、我々の編集担当のトニー・コヴィーが表現するように「そこには、意図的にフェースをコントロールしているか、そうでないのかの違い」がある。

ブループリントは、オフセットが小さくソール幅も狭く、さらにヒールからトゥまでの長さも短いが、その慣性モーメントはiBLADEと同等だ。

上級者はアイアンに精密さを第一に求める一方、初級・中級者は飛距離ばかりを求める傾向がある。

このブループリントは、この両方に対するピンの「答え」であり、ピンは一般的に、定量化できるパフォーマンスの高さを伝えることなく新作のリリースを繰り返して大量生産するメーカーではない。

ゴルファーが欲するクラブ(カッコ良い見た目の限定版マッスルバック)ではなく、ゴルファーが必要とするクラブ(高MOIドライバー)を提供しているというのが正しい見方だ。

今回のブループリントはどんなプレーヤーにも合うアイアンではない。しかし、一連の基準を満たす特定のゴルファー層には何らかの方法でマッチするという根拠は十分にあるのだ。

販売額に関わらず、ブループリントは、ピンにとっての注目に値する一歩であり、新製品発表に対してコンサバな傾向にあるブランドにとっては、ピンの製品開発と販売の方針が変わることを示すような商品であるため、少なからず話題となるだろう。

さて、正しい方向へのステップとなるのだろうか?

 

価格、スペックとチョイス

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※表内用語:Club (番手) /  Length (クラブ長) / Loft(ロフト角) / Lie(ライ角) / Offset(オフセット) /  Bounce(バウンス角) / Steel SWT(ダイナミックゴールド:スイングウエイト )

ブループリントのメーカー希望小売価格は1本230ドル。標準シャフトはダイナミックゴールド S300でグリップはゴルフプライドのMCCアラインが装着されている。

アーコスのスタッツトラッキング、ゲームマネージメントセンサーは10.5ドルの追加料金で対応可能。