私は新しいドライバーを探していた。LPGAプロとしてプレーしていたのは随分昔だが、45m/sを超えていたヘッドもかなり落ちていた。

その頃使っていたテーラーメイドJetSpeedのシャフトは硬く扱いにくかったので、もっと自信を持って振れるドライバーが欲しかったのだ。

大型のゴルフショップに行き、私に合うドライバーを探しているとスタッフに伝えた。「最近入荷したばかりの新しいレディースドライバーがあります」と彼は言った。

彼は私を小さなレディース用品コーナーに案内し、2本の新作ドライバーを紹介してくれた。それは、シャフトとグリップがピンク色のクラブだった。試打してみようと思い、計測器のある試打室に入った。

ボールをセットし、しっかりスタンスを取り、得意のハードスイングで振った。画面を見るとボールは右に飛んでいったようだったが、驚くことにヘッドスピードは43.8m/sと表示されていた。

「硬めのシャフトのほうがいいかもしれない」と、スタッフは私に言った。

女性ゴルファーは、ゴルフショップでの「扱われ方」が横柄に感じることがある。スタッフやティーチングプロは、女性ゴルファーは全員初心者で、ピンクが好きで、ヘッドスピードが遅いと勝手に思っている。

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実際、女性が選べるカラーのほとんどが青緑やパープル、ピンクであり、他に選択肢はないのかといつも疑問に思う。

最近の女性ゴルフ人口は全体の20%超で長らく停滞気味だが、National Golf Foundationによると48%の女性がゴルフを習いたいと思っているという。

これは、用品メーカーやゴルフコース、ゴルフショップにとって、女性ゴルファーを見直し、市場を活性化させる大きなチャンスだ。私たち女性は、全員がピンクや金、銀に囲まれて暮らしたいと思っているわけではない。

女性客がお店に来たら、好みや能力を決めつけてはいけない。時間をかけて、このように聞いてみてほしい。

・どれくらいゴルフをやっているか?

・目的や目標は?

・好みはあるか?

この3つのシンプルな質問をするだけで、好みやスキルを性別だけで判断していないことをアピールできる。

私はこれまで、クラブが限定されることを理由に、ゴルフをやめてしまった女性をたくさん見てきた。女性ゴルファーに合うのは、本当にレディースクラブだけなのだろうか。

ゴルフクラブに関しては、ステレオタイプで女性を判断してはならない。女性は、キラキラしているから、ピンクだからというだけでモノを喜んで買うわけではないのだ。

参考までに、NLFがレディースアパレルの展開を始めた時、ご想像通り商品の色はチームカラーではない「ピンク」がほとんどだった。

しかもスパンコールで装飾されていた。その後、NLFが「女性っぽくない」デザインを増やしたところ、女性の購入者が40%も増えたという。

『Why She Buys (女性のこころをつかむマーケティング)』の著者ブリジット・ブレナン氏は、乳がん研究の基金集め以外では、「ピンク」は販売戦略にはならないという。

女性に対するマーケティングは、性差別的ではないことが前提だ。これは「男性を排除する」という意味ではなく、「ステレオタイプを排除すべき」という意味だ。

女性としては、自分たちのために作られた商品が欲しいと思う。しかし、『Marketing to Women』の著者マーティー・バルレッタ氏は、商品の選択肢の欠如が、その企業に対して敵意を持つきっかけになると指摘する。

「選択肢にピンクがあるなら、それを選ぶかもしれない。でも、女性が選べる色がピンクしかないなら、女性はピンクを選ばない。強制的に決められたくないのです。」(バルレッタ氏)

極論を言えば、女性は男性客の「ついで」ではなく、一人の消費者として扱われたいと思っている。ゴルフ業界が、女性にも好みがいろいろあることを理解すれば、女性ゴルファーは本当に増えるかもしれない。

私の新しいドライバーの話に戻るが、結局私のスキルや好みを憶測で決めなかったゴルフショップで買うことにした。顧客として、また一人のゴルファーとして、きちんと私を見てくれたことに対してお金を払ったのだ。

ゴルフ用品メーカーやゴルフショップは、すべての女性を「たまたまゴルフをすることになった人」ではなく、「正真正銘のゴルファー」として扱う時が来ている、というのが私の見解だ。