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2019 スリクソンZ-STAR/Z-STAR XVボール ~「安くすれば売れる」の誤算~

BY JOHN BARBA

January 14, 2019

消費者心理とは奥深いものだ。多くの人にとって、価格が安いのに品質や性能が同等かそれ以上という理屈は成り立たない。

2019年、ゴルフ用品自体のほかに話題になっているのは、その価格だ(そしてこの記事でお伝えするのは、実際の値下がりに関することだ)。 安定しているように見えるゴルフボールの価格も、例外ではない。 主流のツアーボールの価格が1ダース45ドル以上することについて、満足していることはないだろうが、一般に受け入れられている。 Snellは31.99ドルのMTBを発売することでその常識に疑問を投げかけ、コストコは15ドルのKirklandを発売することで、そのに常識をひっくり返した。しかし、どちらも通常の小売販路以外の話なので、ツアーボールのスタンダードは1ダース45ドルのままだ。 39.99ドル(キャロウェイERC)から29.99ドル(スリクソンQ-STAR Tour)まで、ツアーボールではない一般ゴルファー向けのボールはたくさんある(その違いがわかる人は多くないはずだ)ので、選択肢がないわけではない。29.99ドル以下の製品は通常、2ピース構造のディスタンス系ボールだ。 その常識からすると、大手メーカーが1ダース39.99ドルのツアーレベルのボールを発売したら、市場が大混乱に陥り、タイトリスト、キャロウェイ、ブリヂストンはその対策に奔走することになるだろう。 それこそが、スリクソンが2年前から計画していたことだ。 スリクソンは現在、主力製品であるZ-STAR/Z-STAR XVを39.99ドルで販売している。 同社が2017年に価格を下げて以来スリクソンのシェアは伸びているが、依然として上位4社を追いかけている状況だ。 ここで一つ疑問が浮かぶ。果たしてアベレージゴルファーは、安くなったボールの性能が高価なボールとほとんど変わらないことを信じられるだろうか。 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール  

Z-STAR - 2019年スタイル

スリクソンは、本日Z-STARの2019年モデルを発表した。 Z-STARシリーズがアップデートされたのはこれで6回目であり、今回は「革命的」なアップデートを含んでいるという。 本当に革命的なのか、それとも単に少し進化しただけなのかは「言い方」の違いかもしれないが、掘り下げてみる価値はあるだろう。 スリクソンボールを使って、長く活躍しているツアープロは何人かいる。 キャメロン・チャンプやジェイミー・サドロウスキー、さらにはドラコンで8年連続上位12位に入ったキーガン・ブラッドリーもそうだ。 「当社のツアープロを見ていると、彼らが望んでいることがわかる。彼らは飛距離を伸ばしたいのだ」とスリクソンの製品マネージャー、ザック・オークリー氏は言う。 「彼らは、『グリーン周りのスピン量は素晴らしい。風がある時のパフォーマンスも素晴らしい。あとは、とにかく飛距離を伸ばしてくれ』と言ってくる。」 飛距離に関して最高の発言権を持っているのはUSGAなのだが、飛距離を伸ばすボールを造る秘訣を聞いてみよう。 「飛距離を伸ばすには、様々な方法がある。あるメーカーはスピン量を増やし、別のメーカーはスピン量を減らすだろう。それからディンプルパターンや空気抵抗を計算して、5~6世代かけて機能していることと機能していないことを把握する。モデルごとに大きな変化があるわけではないが、世代を重ねるごとに最適化している。」(ザック・オークリー氏) 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール 2017年モデルと比較して最も変わった点は、Fast Layer Coreと呼ばれる新しいコアだ。 プレミアムボールを造るメーカーはすべて、「内側が柔らかく、外側に行くほど硬くなるコア」という同じような技術をもって、焼成工程中に時間をかけて温度と圧力を変えて造っている。 住友ゴム工業(Srixonの名前はSumitomo Rubber Industryの頭文字だ)が所有しているスリクソンは、日本において優れたゴムの選定を専門とする本格的なエンジニア集団を擁している。 「日本にはこのようなエンジニアがたくさんいる。当社は素晴らしい打感を保ちつつ、高い打ち出しと低スピン量でボールスピードと飛距離を向上させるために、インナーコア、アウターコア、マントルレイヤーを総合的に最適化した。」とオークリー氏は語る。 3ピース構造のZSTARと4ピース構造のZ-STAR XVは、どちらもFast Layer Coreを搭載している。 予想通り、Z-STARは高スピン・低コンプレッションモデルだ。 スリクソンはコア自体を少し大きくし、マントル層を少し硬くした。これにより、ボールスピードが向上する。コンプレッションは、2017年モデルよりも少し高くなって、88から90になった。 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール Z-STAR XVは、2017年モデルと比較して、インナーコアが小さく、アウターコアが大きく、コンプレッションが低く(105から102へ)なった。オークリー氏によると、この変更によってティーショットのスピン量が少し減り、グリーン周りでの打感が少し良くなるという。 メーカーが、「自社テストによると、当社の製品のパフォーマンスは競合他社の製品を下回っている」と発表したことは、かつて一度もない。 スリクソンの自社テストによると、新しいZ-STARは、タイトリスト、キャロウェイ、ブリヂストンの2017年~2018年のツアーモデルよりも2.5~3ヤードも飛距離が伸びたそうだ。  

スピンドクター

スリクソンの2019年モデルは、全体的に大きなコア(ボールスピードを上げるため)と、薄いウレタンカバー(スピン量を増やすため)を組み合わせている。 スリクソンによると、新しいZ-STARのカバーは競合他社のカバーより40%以上薄いという。しかし、カバーが薄くなるとスピン量は増えるが、耐久性が問題になってくる。 過去3世代にわたり、Z-STARボールはSpinSkinを特徴としていた。 これは、ウレタンカバーにスピン量を向上させるウレタンコーティングを分子レベルで接着したものだ。 スリクソンは、それにウレタン分子を架橋結合させるSeRM(スライドリングマテリアル)と呼ばれる材料を加えており、強度と柔軟性を同時に実現し、耐久性とスピン量の両方を高めた。 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール 架橋結合は新しい技術ではない。何十年も前から存在し、主にPEXパイプの製造に使用されている。 タイトリストもブリヂストンも(そしておそらくスリクソンも)、コアの製造に架橋結合を使用している。しかしオークリー氏は、この技術がゴルフボールのカバーに使用されたのは今回が初めてだという。 「本質的に分子ネットワークは結合されている。架橋結合することで、そのネットワークはよりしなやかになり、破損しにくくなる。力が均等に分散されることで、カーボンの耐久性が向上するのだ。」 また、さらにスピンがかかるようになる。カバーは破損することなく「これまでにないレベルの剪断力」に耐えるという。 これによって、アイアンショットとウェッジショットでの摩擦が増し、スピン量とボールを止める力が向上する。特にスピン量の低いXVを使うと、その特徴がはっきりとわかるだろう。 「古いモデルでは、チップショットでZ-STARとXVを見分けることができたXVはツアープロのために十分なスピン量を備えていたが、違いは明確だった。現在はカバーにスライドリングマテリアルが使用されているため、グリーン周りではほとんど違いはない。」(オークリー氏) 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール スリクソンは、338スピードディンプルパターンに変更を加えていない。 「これは、当社がこれまでに設計した中で最も空気抵抗が少ないディンプル設計だ。依然として精度は最高であり、風にも強い。さらに飛距離を伸ばすことができる。」(オークリー氏)  

価格のミステリー

タイトリスト、キャロウェイ、ブリヂストン、テーラーメイドの価格帯である45~47ドルと比較した場合、スリクソンの39.99ドルに価格優位性はあるだろうか。 「ある」と答える人が多いだろうが、スリクソンは2年間この価格でやってきたが依然として後塵を拝している。 「昨年、マスターズと全米オープンを中心にプロモーションを実施した際、当社のシェアは7~8%増という劇的な上昇を見せた。これは、これまでの単月の上昇率で最高の数字だ。もちろんプロモーションの後、シェアは少し落ちたが、利益は純増した。」(オークリー氏) スリクソンの低い価格設定は、「安い」という意味でメリットではある。 しかし、消費者心理とは奥深いものだ。多くの人にとって、価格が安いのに品質や性能が同等かそれ以上という理屈は成り立たない。 消費者は、最初から39.99ドルのツアーボールには見向きもしないが、Pro V1がセールで39.99ドルになっていたら飛びつくだろう。その根底にあるのは、1ダース40ドル以下のボールが、そんなに優れているわけがないという思い込みだ。 しかしスリクソンは、その総合的な価値が勝利を収めると信じている。 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール 「当社は、まだマーケットシェアを獲得しようとしている挑戦的なブランドだ。価格設定は当社の強みである。ツアーボールもそうだが、他のカテゴリーも同じだ。Q-STAR Tourは同じカテゴリーの他社ボールよりも安いが、AVXと比較すると、大きな価格差があるにもかかわらず非常によく似ていることがわかる。ChromeSoftでさえ、構造はQ-STAR Tourとそれほど差がない。」(オークリー氏) どのメーカーも、価格設定には理論と実践が存在し、メッセージが非常に重要だと考えているだろう。 ゴルファーは高価格に不平を言う傾向があるが、低価格でも優れた商品があることを認識できていないのかもしれない。Snellは、メッセージが論理的だったため売れた。 流通の仲介者がいないので消費者直販型の価格に設定することができ、安価でも同等の性能を実現できるというメッセージだ(ディーン・スネル氏が若者から人気を集めていることも役立った)。 ゴルフ用品に関して言えば、ホーガンと新参のSub 70は同じ戦略をとっている。しかし、好むと好まざるとにかかわらず、価格設定はマーケティングの重要な要素なのだ。 2019年,スリクソン,Z-STAR,XV,ボール 「それには理由がある。気をつけていないと、価格設定は境界線を設けてしまうからだ。法外に高い(安い)値段付けると、市場から締め出されてしまうことになりかねない。価格はとても繊細なテーマだが、当社の現在の価格設定についてはかなり自信を持っている。」(オークリー氏) 問題は、そのメッセージが消費者に伝わるか、だ。 新しいZ-Starsボールには、「Pure White」と「Tour Yellow」があり、1ダース39.99ドル。2月1日に店舗とインターネットで発売予定だ。

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著者情報

JOHN BARBA

ゴルフジャーナリスト
ゴルフ、ゴルフトラベル、そしてゴルフ文化を長年取材してきたジャーナリスト。
ニューハンプシャー州を拠点に活動し、現在も熱心なゴルファーとしてプレーを続けている。競技ゴルフだけでなく、コースの歴史や旅先で出会うゴルフの魅力、人々のストーリーに強い関心を持つ。
特にクラシックなゴルフ用品や伝統的なゴルフカルチャーへの造詣が深く、最新ギアから名器まで幅広い視点でゴルフを語ることができるのが持ち味だ。
ジョンにとってゴルフはスコアだけを競うものではない。人との出会い、旅、そして人生を楽しむための存在でもある。
「ゴルファーに本当に必要なのは、もっと長い日照時間だ。」
― ベン・ホーガン

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