・2023年のPINGが削り出しの「PLD」パターシリーズに3モデルを追加。

・全モデルは新しいマットブラック仕上げ。

・「PLD」は、「ANSER2(アンサー)」の新バージョンの他、新しい「ANSER D」、「OSLO 4」を含むシリーズとなった。

※日本での発売と価格:「ANSER 2」「ANSER D」「OSLO 4」は2023年4月6日発売(予定)、価格は¥66,000(税込)。


PING「PLD」パターの新作3モデルが2023年に登場

2023年の新作発表がひと段落したと思った矢先、PINGが新しい「PLD」削り出しパターをお披露目してきた。なぜPINGが1月のPGAショーで発表せず、ここまで待たせたのか?確かに、1月にどれだけのパターとクラブが発表されたかを考えてみると、ひと段落したこの時期に発表するのも良いかもしれない。

今回は新作シリーズというよりもシリーズの拡張だが、十分にインパクトはあるだろう。


「PLD」って何だったっけ?

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PINGの「PLD」プログラムが何なのか忘れてしまった人、もしくは、今回「PLD」を初めて知ったという人の為に「PLD」プログラムについて少し話そう。

ご存知かも知れないが、PING創業者カーステン・ソルハイムは当初、今では彼の象徴と言えるパターを「ANSWER」というネーミングにするつもりだった。しかし、バンパーにフィットさせるには文字が多すぎたということで、彼の奥さんが「『W』を取れば」と提案して、「ANSER」が生まれた。

そのせいもあって、「PLD」は“Plaid=格子”の短縮系となっている。PINGのデザイナー陣が、カーステンによる「ANSER」のネーミング法に則り、“Plaid”という単語から母音を除いて「PLD」に変換。PINGからこのネーミングに関する公式発表はないが、「PLD」は、ソルハイム家のスコットランドの伝統に対する敬意を示したものという見方が大半を占めている。

(というのはウソ。ソルハイム家のルーツはノルウェーだし、「PLD」は「パッティングラボデザイン」の略だからだ。)

※「PLD」:元々ツアー選手のために立ち上げられ、世界のトップレベルで求められるパターの見た目や打感、打球音、フィーリングに対応するためのプログラム。


削り出し構造

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PINGが削り出しパターに力を入れるようになったのは2022年のこと。これまで「PLD」プログラムはツアープロ専用だった。しかし、2022年になってPINGがこれを一般にも開放。新しい「PLD」削り出しパターシリーズだけでなく、「PLDカスタムプログラム」も発表して、限定で「Patent 55 PLD ANSER」パター4モデルをリリースした。

ところで、限定の「PLD」パターを手にした人はいるだろうか?私も小銭を貯めてカッパーモデルを手にしようとしたが、それは叶わなかった。

今回の新しい「PLD」パターは、2022年の「PLD」を継承している。『鍛造303ステンレススチール』の削り出しで、『新ディープAMP(アンプ)溝』フェースを採用し、ボールスピード、見た目、打音、打感を追求したデザインになっている。

PINGによれば、削り出しするのに4時間かかるとのこと。この費やした時間を考えれば、価格が485ドルと高額なのも仕方がないと思わざるを得ない。

今回の3モデルはいずれも「マットブラック仕上げ」を採用している。2022年はサテンとブラック仕上げがあったが、ユーザーがブラック仕上げに惹かれていたようなので、PINGでは今年、暗めのカラーを取り入れることにしたようだ。


ストロークにフィット

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「工学技術主導の製造工程」ということが、私がPINGを高く評価する理由の一つだ。PINGが何かを変える時、それはしっかりとした科学的な理由があるということ。彼らの「Fit For Stroke」のラベルもこうしたことの代表例と言える。

※「Fit For Stroke(ストロークにフィット)」は、ストロークのタイプに合わせてバランスのとれたモデルを使用することで、グリーン上での一貫性を向上させるという、PING のパター フィッティング コンセプトのこと。

クラブフィティングの先駆けはPINGだった。どのくらいの人がPINGのカラーコードについて知っているかは分からないが、約10年前、初期のiPINGアプリをパターに装着することで、自分のストロークが「ストレート」なのか、「スライトアーク」なのか、はたまた「ストロングアーク」なのかを判断することが可能になった。

そしてユーザーが適正なパターを見つけられるようにするために、どのパターがどのストロークに合っているのかを示すシャフトラベルを追加したのだ。

またこれに続く視線追跡の研究により、シャフトラベルがストローク中にボールとパターから視線を逸らしてしまう要因になっていることが判明。結果として、PINGはラベルを小さくし、さらにグリップの真下にくるようにした。

2023年のPING「PLD」パターにおいて、このラベルはグリップを覆うプラスチックラップに変貌。現在、ユーザーは自分のストロークに合うパターを、このラベルを見ることなくパッティングできるようになったのだ。

PINGは、みなさんが欲しい機能を残して課題となっているものを取り除く方法を見つけたということ。私にとって、これこそが「PINGのやり方」なのだ。


2023年PING「PLD ANSER 2」

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一本の短くて白いアライメントラインとマットブラックのヘッドとのコントラストにより、視線が前に向い集中力がアップしてエイミング(正しい方向に狙いを定める)しやすくなる。

従来の「ANSER」とは異なり長めでスリムな形状は、アドレス時に目を惹きつけ自信を持たせてくれる他、「ANSER」のヒール・トゥウエイトが採用されており、「安定性」と「寛容性」があることも特徴となっている。



PINGパターの象徴的なモデルの全ては「ANSER」が起点となっているのかも知れないが、「ANSER 2」のデザインもかなりの影響を残している。

つまり、「ANSER」の評価が高ければ高いほど、次なるモデルへの期待も高まりさらに消費者を惹きつける。もしこの2モデルを試したことがなければ、是非とも試してほしい。この両モデルは、今でも全く色褪せていない。

2023年のPING「PLD ANSER 2」は、当然ながら昨年(22年)発売されたサテンバージョンに似ているパターだ。もちろん仕上げは違うが、キャビティのデザインも変わった。

PINGでは異なるストロークタイプを表す3色のカラーバーの代わりに「Putting Lab Design」の文字を刻印。PINGは、エンジニア第一主義を掲げているけど、これはどちらかと言うと見た目上の判断だったのだろう。

あるいは、「PLD」が何なのかをユーザーに知ってもらう仕掛けなのかも。おまけに、3色のカラーをやめたことで、今回のモデルは全体的により魅力的になっている。


2023年PING「PLD ANSER D」

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歴史ある史上最高パター「ANSER」の新種。クラシカルなブレードとミッドマレットのハイブリットとしてツアープロの意見を取り入れたモデルは「寛容性」があり、一本のホワイト・アライメントラインとマットブラックのヘッドとのコントラスト、よりディープ(D)な形状もデザインの特徴となっている。

ヘッドの重量が増えることでストロークが安定し、より一貫したヘッドの動きをサポートする。

最近はワイドなブレードが流行っている。PINGは現在の数多あるパターのデザインにおける功績を認められた存在だが、ワイドな「ANSER」についてはどうだろうか。

他社の古いワイドブレードならいくつか頭に浮かぶけど、最初にワイドブレードを手がけたのはどこかを明確にするのは難しい。PINGだったかも知れないし、自分が単に覚えていないだけなのかも。

とにかく、このモデルはPINGが今シーズン発売した2作目みたいなもので、もう一本は“新しい”PINGパターの「ANSER 2D」。

どうしてこの辺りのパターのシリーズ名を考えなかったのか本当に不思議だよね?ネーミングはさておき、「PLD ANSER D」はフルミルドで、「ANSER 2D」は『PEBAXポリマー』がインサートされるなど、この2モデルはフェースが異なっている。



現在、「ANSER D」はトニー・フィナウが使用中。そう言えば…、マスターズがもう直ぐなので、誰かフィナウをチェックしておいてくれないかな?今年、フィナウが足を怪我しなければ、今の調子ならグリーンジャケットが獲れるかもね。


2023年PING「PLD OSLO 4」

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ツアープロが好むマレットタイプで「寛容性」が高い「OSLO」は、「ANSER 4」タイプのホーゼルを採用しておりストロングアークのストロークタイプに合っている。

ヘッドいっぱいのアライメントラインとマットブラックのヘッドとのコントラストはアドレスで目立ち、視線を前方に寄せてくれる。丸みのついたソールが、細かく描かれたラインがあるキャビティ部分につながっており的確なエイミング(正しい方向に狙いを定める)を可能にする。

新作モデルは、スコットランドではなくノルウェーの街にちなんでつけられた「OSLO」で切り上げたいと思う。

「OSLO 4」は興味深い小型マレットだ。まず小さい。下の写真では「ANSER」より高く見えるが、「ANSER D」よりも10gだけ重たくなっている(365gに対して375g)。ちなみに「ANSER」は355gだ。

つまり「OSLO」はある程度重量があるものの、良い感じに配分されている。ヘッドを見てボールを転がしてみると、365gのヘッドのように感じた。やや小ぶりなマレットといった具合だ。



PINGが新作マレットを出すたびに言っていると思うが、マレットで何より大切なのは、“PINGが新作マレットを発表するときはお見逃しなく”ということ。ごめん、逸話があったら良いけど、でも間違ってないよ。

みなさんの多くは、私が、上記について当時ベストマレットパターだった初代のPING「KETSCH(ケッチ)」を元にしていることはお分かりだと思う。このパターは、『Most Wantedテスト』で圧倒的な強さを見せた。確か5フィート(約1.5m)から98%のパットを決めていたし、10フィート(約3m)と20フィート(約6m)からもそこまで悪くなかったと思う。


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この「KETSCH(ケッチ)」は発売当時、それらしい宣伝はなかった。PINGとしては単に発売しただけという感じで、パターシリーズの中から無名の存在が出現したというわけだ。だから新しいPINGのマレットは全てチェックして精査しないとダメってこと。油断していたら次の「KETSCH」を見逃すかも知れないぞ。


PING「PLD」パターシリーズ

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今回の追加モデルでPINGの「PLD」削り出しパターシリーズは7モデルとなった。他の100%削り出しモデルのように、こちらも決して安くない。メーカー希望小売価格は485ドル。現状において完全削り出しは、懐に余裕がない人には向かないモデルだ。

この価格は、素材というよりも時間的なコストが要因。削り出すために4時間かかると言ったことを覚えているはずだ。PINGがフェニックスで1万台のCNCマシーンを使って大量生産しているわけじゃないからね。

もし今回のうちの一つか、以前のPING「PLD」削り出しパターに興味があるなら、フィッターを見つけることが得策だろう。もちろん、どんなものでも新しいパターを買うときはそうした方が良い。

お伝えしたように、PINGはフィッティングの大切さを知っているし、彼らのホームページには各地のパターフィッターへのリンクもあるので、そこから近隣にPINGの認定フィッターがいるか調べてみると良いだろう。