PXGの「バトルレディ・シリーズ」最後の新作。今回の4モデルの追加で、今季発売されたパターの中で最も充実したシリーズが完成。

PXG「バトルレディ・シリーズ」は、複数のマレット、象徴的なブレード、その他モデルがラインナップしており、これまでに「ブラックジャック」「ワン&ダン」「ブランドン」「マスタング」「バットアタック」を紹介したが、今回はこれらに「クローザー」「スピットファイヤー」「ガンボード」、そして「ブラックバード」が加わった。

今回の新作追加でラインナップは9モデルになった。それぞれのヘッドデザインは全く異なる。クラシカルなデザインを踏襲したものから、混じりっけなしの「PXG」デザインのものまで。しかし、新作の話をする前に、まずは、「バトルレディ」とはどんなパターなのかを少し振り返ってみよう。


複合素材構造

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「バトルレディ」パターは全モデル「複合素材構造」となっている。デザインにより、メインのボディは「ステンレス」か「アルミニウム」を採用。ここに十分な量の「タングステン」を搭載することで、特にMOI(慣性モーメント)を大幅に向上させている。また「バトルレディ」パター全モデルは、ゴルファー個々の好みに合わせてスイングウェイトを調整できる「可変ウェイト」の採用も特徴だ。


ホーゼルオプション

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各「バトルレディ」は、ネック形状を3種類の中から選べる。「スラントネック」の「バットアタック」が良ければ、それもOK。「プランバーネック」の「ブランドン」も問題ない。「ダブルベント」の「ワン&ダン」はどうかって?承知してるよ。どのヘッドでもネック形状を選択できるし、お望みなら「アームロックタイプ」も選択可能だ。


「ピラミッド・フェースパターン」ミーリング

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フェースのミーリング(削り出し)をチェックするのは、実際にボールを転がすのと同じくらい楽しいし、まるで催眠術にかかったようになる。基本的に、ミーリングはフェース全体の「打感」と「ボールスピードの一貫性」を向上させることを目的としている。見た目が超イケてるのは、単なるオマケだ。


4つの新モデル

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4モデルのうち2つは数週間前にリリースされたが、今回は一度にまとめて紹介できればと思う。まずは先に発売された2モデルを、その後に最新2モデルをお届けする。


PXG「バトルレディ・クローザー」

見てくれ、この四角いヘッド。「クローザー」は基本的にアンサー型であるが、そのボリューム感は激増。ムッキムキだ!アンサーの後方部を伸ばしたことで、多くのゴルファーに好まれるヒール・トゥウェイトをキープしつつ、MOIの向上を図っている。このモデルで「プランバーネック」を選択したら、すぐに馴染む感じがするはずだ。

私はこの四角形がお気に入り。セットアップもしやすいし、ターゲットラインに対して妨げになるようなものがヘッドにないことも良い。


PXG「バトルレディ・スピットファイヤー」

この「スピットファイヤー(=短気な奴)」は、第二次世界大戦の有名な戦闘機にちなんで名付けられたのは明らかだ。とはいえ、ヘッド後方の両端が飛び出している形状を見たとき、思わず唾を吐きつけたうえで燃やしてしまおうかと思った。

個人的には、この「スピットファイヤー」はアドレスでの見た目が最悪。「マスタング」の見た目にも苦労したことを覚えているが、「スピットファイヤー」は、その上を行く有様だった。

それから、「マスタング」同様にボールを転がしてみた。すると、これまで使ってきたパターの中で最も安定しているとは言わないまでも、自分がそこにいる必要がないと感じるくらいにスムーズ。ストロークと軌道も非常に素直だ。当然、転がりも良い。見た目は相変わらず良くないが、3メートルのパットを沈めるたびにその(嫌な)感覚も薄れてきた。

このパターは「バトルレディ」における“ナニー・マクフィーの魔法のステッキ”だ。見た目が気に食わないからという理由で試さないということがあってはならない。なんなら、目を閉じてパッティングをすれば良い。ここまでバランスが良いパターなら、目を開ける必要すらないかも知れないのだから。


PXG「バトルレディ・ガンボート」

私は、「バトルレディ」シリーズに「ガンボート」が追加されるのか数名から質問を受けていた。つまり、このマレットパターのシリーズ入りを望んでいた人がそこそこいるということだろう。というわけで、安心して欲しい。「バトルレディ・ガンボート」※の登場だ。

今回のモデルには、「Gen 2 ガンボート」と同じ(フェース向きを合わせる為のデザイン上の)ラインが全てある。中央にある太いサイトライン(アドレスした時、ターゲットに対してフェースがスクェアになるように引かれたライン)により、最も“目標に真っ直ぐ構えやすいパター”の一つと言える。

※ガンボート (砲艦) は、軍艦 (または輸送艦や補給艦) とは異なる、火砲を主兵装とした水上戦闘艦艇。

そして、他の「バトルレディ」パターと同じように相当量の「タングステン」も搭載。高密度のメタルレールにより周辺重量配分を実現しており、MOIが高くなっている。さらなるウェイト調整がお望みなら、ソールの3か所の「可変ウェイト」で調整可能となっている。


PXG「バトルレディ・ブラックバード」

PXGから送られてきた箱を開けた時、後者2つの「バトルレディ」パターについては見当がつかなかった。「クローザー」と「スピットファイヤー」は見たことがあったし、「ガンボート」も発売されることはちゃんと予測していたが、「ブラックバード」は驚きだった。

子供の頃、「スピットファイヤー」もイケてる戦闘機だと思っていたけど、「SR-71 ブラックバード」は度肝を抜かされるカッコ良さだった。テカテカしていて超高速。「ブラックバード」が「X-Men」の中でどのように扱われたのかはさっぱり分からないけど、ともかく「ブラックバード」は様々な想像を掻き立てる戦闘機だった。

関係のない話で恐縮だが、とにかくこのパターを見た時の感動をお伝えしたかったということだ。

ネーミングはともかく、このパターは「独特の見た目」をしている。その名前の通り面長で輝いており、「独特の形状」をしているのだ。戦闘機のようなウイングがあるが、北欧古代文字をモデルにしている可能性もある。パターとしては、長いサイトラインによりエイミング(正しい方向に狙いを定めること)がしやすくて、後部に配されている「タングステン」により動きもスムーズだ。

他のパターと比べて「こんな感じのパター」と言いたいところだが、「ブラックバード」のフィーリングは独特だ。「バットアタック」や「ブラックジャック」には悪いが、「ブラックバード」は間違いなく「バトルレディ」マレットパターの中で私のお気に入りの一本だ。


PXG「バトルレディ」シリーズはこれで勢揃い

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先述した通り、PXG「バトルレディ」は、今季の新作パターの中で“最も完成度の高い”シリーズだ。ネック形状のオプションを含めれば、このシリーズに匹敵するものはない。今回のシリーズで一番の長所は、まさに“使うためにある”ということだ。

全モデルともブラックとホワイトでまとめられており、良いパッティングをするための「重量配分」と「ミーリング」を採用している他、カスタム用の「ホーゼル(ネック)」と「可変ウェイト」も用意されている。

ゴルフに行くたびに自分のキャディバッグの中に入っている「バトルレディ」のパターが変わっていても、おかしくはないだろう。もちろん、「スピットファイヤー」でもどんな転がりになるのかは理解しているし、使うつもりだ。「バトルレディ」シリーズの前も「PXG」のパターには手を出してきており、その時は別にどうでもいいかなと思っていたものの、今回のシリーズはそうではない。

そして、もしあなたが「PXG」の価格設定に怒りを覚えているのなら、「PXG」のウェブサイトを時折チェックする必要がある。現在のところ、「バトルレディ」の全モデルは275ドル。このシリーズを製造するための素材やミーリングに必要な時間を考えれば、驚くべき価格だ。