注目点

・クリーブランド「RTX ZipCore」ウェッジが「フルフェース・グルーブ(フェース全面に施した溝)」で登場

・ロフトは50度から64度、仕上げは「ツアーサテン」と「ロー・ツアー・ラック」の2つ

・価格は「ツアーサテン」が159.99ドル、「ロー・ツアー・ラック」は179.99ドル

・6月11日発売


クリーブランドの「RTX Full-Face」ウェッジは、フルフェース・ウェッジ部門ではやや後発と言えるだろうが、いい感じに遅れるということは、注目を浴びることでもある。

あとは、躓かないようにということだ。

現状では、クリーブランド「RTX Full-Face」ウェッジの視界は良好と言う感じ。もしあなたが、フルフェースのウェッジに興味があるなら、注目したい一本になるだろう。


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クリーブランド「RTX Full-Face」ウェッジ(「ZIPCORE」搭載)

これまでもフルフェース・ウェッジには、ちょっとしたブームがあった。ピンや「Eye 2」とか…。しかし、フルフェースを再び流行らせたのは、2015年にオリジナルの「PM Grind」を発表したキャロウェイだろう。それからというもの、テーラーメイド、ウィルソンなども追随し、昨年初頭にはクリーブランドが「Full-Face CBX」でこれに割って入った。そして、「RTX」の投入。機は熟したというわけだ。

「我々はすべてのゴルファーに対してクラブを製造している」というのはクリーブランドのライアン・ポランコGM。「『CBX』を市場に投入したことで、明らかにフルフェースの需要があることが分かった。そして、目の肥えた上級者向けにデザインしたクラブが入る余地があることも分かった」。


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キャロウェイの「PM Grind」、ウィルソンの「Staff Model HT」、あるいはテーラーメイドの「Hi-Toe(ハイ・トウ)」を見れば分かるが、これらのウェッジはトゥ部分が高くなっている。これは設計によるものだ。そしてクリーブランドの「RTX Full-Face」もトゥ部分が高めに設定されているが、目立つほどではない。

「最初にフルフェース市場にウェッジを投入したわけではないので、前例を見ることができたし、競合よりも何ができるのかを考えることができた」とポランコGM。「『ZipCore』テクノロジーのおかげで、伝統的な形状をキープすることができたし、ハイ・トウウェッジのように見せる必要なく、ハイ・トウのパフォーマンスを実現することが可能になった」と胸を張った。

横に並べて比較すると、確かに「RTX Full-Face」はハイ・トウになっている。しかし、見ようによってはそこまでハイ・トウとは感じないだろう。


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我々は、昨年もクリーブランドの『ZipCore』テクノロジーについて掘り下げたが、ここでちょっとまとめたいと思う。クリーブランドは、新型「ZipCore」シリーズ用に新たに「低密度コア」を開発したことで、内部重量16gの削減を実現した。その結果、質量が減り、重心をよりクラブフェースのセンター寄り、やや高めにシフトさせることに成功、よってMOIとフィーリングが改善したということになる。


「フルフェース」が必要なのは誰だ?

まともな疑問だろう。一般的にフルフェース・ウェッジは、グリーン周りで様々なショットをこなすゴルファーにとって最も有効なクラブ。こうしたクラブは基本的に、ローバウンスでアグレッシブな「Cグラインド」が施されており、フェースを開きやすいのが特徴だ。

「我々の調査によると、グリーン周りのラフから打つ時、ボールがフェース上部に滑るような感じになる」とポランコ氏。「ゴルファーは一般的に、トゥ側の高い部分に当てることになるので、フルフェース・グルーブはそのメリットを生かせるのだ」。


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ハイ・トウのフルフェース・ウェッジは、ロブウェッジとして一番使い勝手がある。クリーブランドもこの新しい「RTX Full Face」ウェッジを「フロップショット(ロブショット)・マシーン」と呼ぶほどだ。一般的に言って、ハイ・トウのフルフェース・ウェッジは、ギャップウェッジのロフトに近づくにつれ使いにくくなるが、クリーブランドでは、今回50度までラインナップしていることも特徴だ。

「混じりっけのないパフォーマンス視点で見ると、『ZipCore』のメリットを全て得ることもできる」とポランコ氏。「ゴルファーは、『UltiZipグルーブ』、高MOIのパフォーマンス、そしてフルフェース・グルーブのメリットを全て享受できる。このウェッジは、フェアウェイからのパフォーマンスはそのままに、深いラフからのショットでも威力を発揮してくれる」とアピールしていた。

もし、あなたがグリーン周りでフェースを開閉するタイプで、まだフルフェース・ウェッジを試したことがないなら、まずロブウェッジから試すのがベストだろう。


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ポランコ氏は次のように語る。「ゴルファーが手にするのはロブウェッジからだろう。そして、見た目や打感が気に入れば、SWやGWとしてもこのウェッジが使えるか試せば良いと思う。ウェッジには個人差があり、それぞれのゴルファーには個々の好みや使い方があるものだ」。

さらにクリーブランドでは、さらにロフトが寝たウェッジを試したい人のために64度もラインナップ。プレーで使えなくても、ハンバーグをひっくり返すのに使うこともできるだろう。





バウンスとグラインド

ハイ・トウのフルフェース・ウェッジの多くは、ローバウンスタイプになる傾向がある。しかしクリーブランドは「RTX Full-Face」で異なる手法を取っている。

「今回のモデルは、皆さんが思ったよりもバウンスがついている」とポランコ氏。「実際のバウンス(全モデルは9度と表示されている)は、当社のスタンダードな『RTX』ウェッジのミッドグラインドに近い。競合のフルフェース・ウェッジよりもバウンスはついているが、その分、寛容性も増している」。


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そして今回のクリーブランド「RTX Full-Face」には、昨年リリースされた「ツアーサテン」と「ロー・ツアー・ラック」と2つの仕上げがラインナップ。ともにアグレッシブな「Cグラインド」ソールが標準だ。「Cグラインド」はヒールとトゥ部分が削られており、フェースをオープンにしたり、ニュートラルからシャロー(鈍角)な入射角でのショットや硬め~普通のライに対応している。

また「ツアー・ラック」は10ドルの追加料金を払うと、トレーリングエッジを削った「リリーフ・エッジ・グラインド」のオプションも可能。さらに、入射角がスティープ(鋭角)な場合には、硬いライで使えるようにリーディングエッジをシャープにしたり、柔らかいコンディションで使えるようにリーディングエッジを丸くするオプションもある。


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ポランコ氏によれば「タイトなライから、ボールをきれいに拾いたいなら、リーディングエッジをシャープにして、できるだけ地面にエッジを近づけると良いだろう」だそうだ。


クリーブランド「RTX FULL-FACE」ウェッジ – ふわりと浮かせるアーティストだ

お伝えしたように、クリーブランドでは「RTX Full-Face」ウェッジを「フロップショット(ロブショット)・マシーン」とアピールしている。このウェッジの58度で8ラウンドほどプレーしたが、まさにその通りと感じた。

最初に試したのは、タイトなライからのバンカー越えのフロップショット(ロブショット)。いつもなら「予定通り」というわけにはいかず、バンカーにボールを入れてしまいそこから打ち直しという感じだが、バウンスとグラインドとリーディングエッジのおかげで、上手く“浮かす”ことができたのだ。それからというもの、グリーン周りやバンカーから信頼できる武器となってくれたので、しばらくこのウェッジを使う予定でいる。

一方、52度のGWは、確かにGWとしてのパフォーマンスを発揮するが、現在使用中のものと替えるほどのパフォーマンスではなかった。


スペック、カスタマイズ、発売時期

「ツアーサテン」仕上げのクリーブランド「RTX Full-Face」ウェッジは、50度から60度まで2度刻みのロフト設定。64度もラインナップしている。主軸となる54度から60度は左右ともあり、50度、52度、そして64度は右利きのみ用意されている。

一方「ロー・ツアー・ラック」仕上げは56度から60度、64度のラインナップで右利きのみとなっている。


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スペック

純正シャフトはダイナミックゴールド「Spinner Tour Issue(スピナー ツアーイシュー)」を採用。トゥルーテンパーのスタンダードの「DG Spinner(DGスピナー)」と混同しないようにしてもらいたい。

クリーブランドとトゥルーテンパーは、昨年の「RTX ZipCore」用にこの「Spinner Tour Issue」を共同開発。重量は128gで「S400」よりも4g軽くなっており、先端部がやや動きやすい。トゥルーテンパーでは、このシャフトをミッドスピン、低打ち出しのウェッジシャフトとしているようだ。

またクリーブランドでは、この「RTX Full Face」に対してゴルフ界トップのカスタムオプションをラインナップしている。「ツアー・ラック」モデルのグラインドとリーディングエッジのオプションについては既に説明したところだ。

さらにこの「RTX」ウェッジには、10ドルでロフトとバウンスの刻印、クリーブランドのロゴ、そして「RTX」と「Full-Face」ロゴの三箇所に別々のカラーペイントを施すことが可能。カラーオプションでは全部で16色ある。


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そして、別途10ドル払うと5文字までのカスタムスタンプも可能。こうした全てのカスタマイズは、カスタムシャフト・グリップ同様、クリーブランドのHPから注文できる。

クリーブランド「RTX Full-Face」ウェッジは「ツアーサテン」が159.99ドル、「ロー・ツアー・ラック」は179.99ドルとなっている。

店頭での発売は6月11日から。