どうやらパターに関しては、それぞれの形について言及するより、デザインの区分を語ることのほうが増えてきたように思える。

スパイダーにPhantom X、BLACK TEN、そしてFrankly Frogと、もはや誰が最初にデザインしたのかについての論争には意味がない。

なにより、同系統のモデルが複数存在するということは、ハンデや技量、好みを問わず、そのデザインに利点と有効性があることを証明しているのだから。

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というわけで、イーブンロールがER10 アウトバックを発表した。慣性モーメントが極めて高い、翼のあるマレットタイプ。前述の競合モデルと同じ区分に属するパターだ。

イーブンロールの他の全てのパターと同様、アウトバックにも、パターフェイスにおける業界のスタンダードだといっても過言ではない『スイートフェイステクノロジー』が採用されている。

少なくとも、イーブンロールの特徴的なフェイス溝は一貫しているし、他社も似たようなテクノロジーの代替版を取り入れており、その多くがイーブンロールの特許技術を意識して作られていることに着目すべきだろう。

仕様としては、まずフェイスバランスであるアウトバックパターのボディは、ブラックアーマー仕上げの軽量6061アルミニウム製。

ちなみにアウトバックとは、ブーメランのような3030ステンレススチール製の翼から名付けられている。

そのステンレススチールの翼はCNCミーリングで、パターの長さに応じた特定の重量に切削され(33インチで385g、34インチ370g、35インチ355g)、90gの黒いピストル型グリップが装着される。ご想像通り、ロフト角(2度)とライ角(70度)は必要に応じて調整可能だ。



 

慣性モーメントについて

『高MOI(慣性モーメント)』について、少なくともクリーブランドは高すぎないMOIのほうが好ましいという立場を取っている。

MOIは今後さらに細かく論じられることだろう。

しかし今まず考えてほしいのは、MOIがオフセンターヒット時のクラブヘッドのねじれの度合いを測るものだとして、重心位置に対するシャフトの位置を数値として知りたいかどうかだ。

そもそも、MOIは、ゴルファーが実際に経験することを考慮に入れるべきなのか、それとも純粋にクラブヘッドの設計だけ考慮すれば良いのか?

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一般的なMOIの測定では、シャフトがクラブヘッドにどう挿されているかを考慮していないため、370gの標準的アンサータイプのヘッドのMOIは約4600 gr/cm²となる。

テーラーメイドのスパイダーXはじめ、市場で人気のモデルもそうだ。

高MOIまたは極めて高いMOIのマレットパターですら5000 gr/ cm²台半ばと、ブレードタイプのMOI値と大差ない標準的なMOI値となる。

ではなぜツアープロを含む多くのプレーヤーが、高MOIモデルの安定性を望むのだろうか。一般的なMOI測定では測りきれないにもかかわらずだ。

マーケティング戦略で生み出された「気休め」に騙されているわけではない。答えは効率的MOIのなかにある。

このMOIに関する認識が全て間違っているように思われるかもしれないが、皆さんのご意見は?

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価格および発売日

ER10アウトバックのメーカー希望小売価格は、ピストルグリップで399ドル、グラビティグリップだと419ドル。

アメリカ国内の厳選された小売店で2019年11月1日より、さらに2020年の早い時期に世界展開される。