22年前、スコッティ・キャメロンは、キャビティ部にホワイトドットを32個配した、独特のドミノパターンとカッパーカラーのトレリウムインサートが特徴のパターを世に送り出した。
そのスコッティ・キャメロンの「ニューポート TeI3」は、タイガー・ウッズを1997年のマスターズ優勝に導いたパターとして、パターマニアの間で知られている。
これを境に、ゴルフの新たな歴史が幕開けしたと言えるだろう。
壁が打ち破られ新記録が生まれる時、その偉業を打ち立てた道具は不滅のものとなり、それを手にしていた者の代名詞となる。
とりわけ、専用のゴルフクラブとなれば尚更だ。ウッズ以外、パター市場(あるいは単独のパターブランド)に多大な経済的影響を及ぼしたゴルファーがいるだろうか?
1997年は、スコッティ・キャメロンにとってターニングポイントだし、ウッズはGSS素材の「ニューポート2」を使い、そこからメジャー14勝しているが、誰だって「初めて」は特別の巡り合わせというものだ。
2019年
2019年、スコッティ・キャメロンの古くても新しいパターが発表された。「トレリウム T22」は、ニューポートとニューポート2の現代版、そしてTeI3 ファストバック1.5の集合体であり、全モデルともキャメロンが市場に投入したいと思う本数だけ限定リリースされる予定だ。
599ドルという価格ながら、キャメロン愛好家がレジに押し寄せることは必至だろう。
ヒールとトゥに装着されたアジャスタブルウェイトにより、スイングウェイト調整の自由度はあるが、今モデルの重要ポイントは、オリジナルのニューポート/ニューポート2 トレリウムとほぼ同じ見た目であること。
各モデルとも、303ステンレススティールをミーリングしており、キャビティ部の32個のホワイトドットを配したドミノパターンと対象的になるようにマットブラック仕上げになっている。
また、ドットにはトレリウムインサートの外側にあるホワイトエラストマー膜が採用されている。
さらに、キャメロンの販売資料によると、「トレリウムのインサート部分の構造が改良され、エラストマーによる振動吸収が進化した」ようだが、細かい改良点が明記されていたり、個別の進化については言及していない。
インサートとエラストマー膜は、ともにフィーリングに影響を及ぼすだけに、進化の中心は、素材が変わったことよりも精密な製造工程にあるのだ。
トレリウム/TeI3は、12種類以上の金属を配合させた独自のインサートで、「キャメロンパターで最も柔らかい打感を生み出す」ものであり、ようするにスコッティ・キャメロンの商標なのである。
フェースに(溝やフェースの構造を変えるのではなく)インサートがある主な理由は、パター全体の素材構成を変えることなく、インパクト時の打感を改善することにあるのだ。
詳細
1997年のニューポートと言えばウッズにとっての相棒であり、「TeI3」と刻印されているなら、まさに同じパターだ。ニューポートとニューポート2との主な違いは、アドレスでの見た目。
キャメロンのラインナップを通じて言えることだが、ニューポートの方がやや丸みを帯びており柔らかい印象がある一方、ニューポート2は見た目がシャープでトップラインもフラット、角ばった印象がある。
「トレリウム T22」の「ファイストバック1.5」は、スタジオセレクト・ファストバック1.5のソールと薄いトップラインを継承。
ミニスラントネックを取り入れた他、スクエアなセットアップを実現するため、進化した4方向にバランスがとれたソールデザインを採用している。
そしてキャメロンパターらしく、「トレリウム T22」の各モデルは、限定販売のカスタムトレリウムヘッドカバーとシャフトバンドも特徴。
カッパー色を配し、先端がそれほどテーパーされていない厚みのある新型ピストリーニグリップを装着している。
スコッティ・キャメロンの歴史とタイガー・ウッズは切っても切れない関係だ。
そして、我々が性能を重要視していても市場にはいつだって心に訴える商品がある。
その中にはノスタルジーを最も強く感じさせるものもあると言うが、22年前に戻りたい人なんているのだろうか?
古いものは改めて新しいものになるのかも知れないが、キャメロンのパターは果たしてどうだろう?
発売日と価格
「トレリウム T22」全シリーズは8月16日から発売開始。メーカー希望小売価格は599ドル。
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