タイトリストの新ボール「Velocity(ベロシティ)」と「TruFeel(トゥルーフィール)」は、かの「#1Ball」を連想させるようなモデルではない。決して軽視しているのではなく、それが事実なのだ。

同社から発売されているゴルフボールは現在9モデル。そのうち4モデルは業界基準を超える、ツアーボールと呼ぶのに相応しい「性能」と「品質の一貫性」を備えたボールに価値を求めるゴルファーを対象としている。

もし「AVX」を含めるなら5モデルになる。残りの4モデル(「Tour Speed」、「Tour Soft」、「Velocity」、「TruFeel」)の目的はこれらとは異なる。

ゴルファーがゴルフボールを購入する際に基準とするものは2つある。それは「パフォーマンス(性能)」と「好み」だ。性能重視のゴルファーは、商品の細部まで精査する傾向があり、わずかな値上げにはあまり反応しない。

逆に、好みを重視するゴルファーは、ひとつの属性(飛距離、打感、カラーなど)にこだわりを持ち、安さと引き換えに他の機能を妥協することをいとわない。

このような傾向を踏まえて、次に進もう。


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タイトリスト「Velocity(ベロシティ)」

メーカーがボールを改良する際は、基本的に同じ課題にチャレンジしている。ゴルファーが必要とするものを奪うことなく、彼らが求めるものを提供すること。そして、1種類のボールですべてのゴルファーをカバーすることは難しいので、多種多様のモデルとパフォーマンス特性が存在するわけだ。

名前の通り、「Velocity」は2ピースボールで、主な目的は「初速」だ。つまりは「飛距離」。グリーン周りの「心地良い打感」や「操作性」を損なうことなく、もう少し飛距離を伸ばすことがこのボールの狙い。


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「Velocity」の飛距離優先の構造には、高コンプレッションの1.550インチ「LSXコア」と再構成された「NaZ +」カバーが駆使されている。「ボール初速」と「コンプレッション(硬度)」は直接関係し合う。

コアが硬いと、ボール初速もそれに伴う。そのため、全体的なコンプレッションは同じままだが、新「LSXコア」は以前よりも僅かに硬くなった。これについては、後に説明しよう。

ゴルフボールはすべてのレイヤー(層)が他の要素に影響を与えるため、ソフトコアをハードコアと入れ替えて終わりというわけにはいかない。ゴルフボールの各ピース(この場合は2ピース)が隣接するレイヤーとどのように関係するかが、全体的なパフォーマンスに影響を与える。

そのため、同社は「NaZ +」カバーをわずかに柔らかくした。基本的に、硬いレイヤーの上に柔らかいレイヤーを被せると「スピン」が生成される。

したがって、理論的には全体的なコンプレッションを維持しながら、硬い「LSX」コアとより柔らかい「NaZ +」カバーによってグリーン周りでスピンを少し加えることができるというわけだ。


ディンプルの重要性

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ディンプルパターンは、ゴルフボールのエアロダイナミクス(空気力学)に影響を与える。さらに、独自の目的を果たし、さまざまなレイヤー(層)と連携して機能する。

「弾道」とは、ゴルフボールがたどるポイントAからBまでの軌道のことだ。「Velocity」の設計目的は「より速いボール初速」だが、球状に並んだ350個の(八面体)ディンプル設計は全体的に高い弾道を生み出す。

興味深い事実として、タイトリストのような垂直統合型メーカーと、DTC(直接販売)市場に商品を供給する工場直売のボールとでは、ディンプルパターンに明確な差がある。よくあることだが、DTCブランドは一般的なパフォーマンス属性に基づいて、限られたディンプルパターンから選択しなければならない。

たとえば、「Foremost」は318個のディンプルパターンだが、「Vice Pro」やオンコアの「ELIXR」、「Vero XL」などの多くのボールにも見られるディンプルパターンだ。

まずは、基本的なホワイトカラーから発売される。10月1日より、マットグリーン、マットオレンジ、新マットブルーが展開される。





タイトリスト「Trufeel」

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「Velocity」のストーリーが「ボール初速」だとしたら、「TruFeel」はすべて「打感」だ。そして、その「打感」は柔らかい。

「TruFeel」は、タイトリストのゴルフボールの中で最も柔らかいボールだ。そのソフトな打感を実現するために低コンプレッションコアを採用している。聞いたことがあるかもしれないが、低コンプレッションコアでは比較的「ボール初速」が遅くなる。

そのため「コア」、「カバー」、または「ディンプル」設計を変更することで、この初速不足に対応することが課題となる。通常、3つすべてだ。

当然のことながら、新「TruFeel」の目的は、全体的な飛距離を伸ばし、グリーン周りでよりソフトな打感を加えることだ。それを達成するために、同社はコアのサイズを大きくし、その分全体のサイズを維持するためにカバーを少し薄くした。

エアロダイナミクス・リサーチエンジニア部門のディレクターであるマイク・マドソン氏によると、「新しい1.6インチのコアは、この部類のソフトボールではかなり大きい方だ。より初速が出るゴム素材を使うことで、初速と飛距離を改善する一方で、大きくなったコアサイズとのバランスを取るためにカバー構造を薄くする必要があった。」という。

「TruFeel」のカバーは、球状376個の四面体ディンプル設計。また、キャストウレタンや射出成型ではなく、圧縮成型で作られている。


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ボールの価値

多くのゴルファーにとって、「Velocity」や「TruFeel」が今年の試してみたいボールリストに入るとは思わない。

主流ブランドといえばロストボールとしてコースでよく見かけるボールだ。しかし、ジーンズやTシャツといったスタイルでパブリックコースをプレーするようなゴルファー達も多く存在する。

彼らは、「デュアルコア」や「デュアルマントル」構造は言うまでもなく、カバーの材料である「サーリン」と「ウレタン」の違いすら知らない(または気にしない)。私たち読者の多くは“一流”ボールしか注目していないが、大多数のゴルファーがそうではないのも事実だ。

『Ball Lab(ボールラボ)』のデータベースを見ると、上位10モデルのうち7モデルがタイトリストによって構成される。これは偶然ではない。

つまり同社が一貫して生産の「一貫性」に優れているのは、主流ボールだけに注力しているわけではないことを表している。


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価格と販売予定

「Velocity」は、2月4日から標準カラーのホワイトが発売。マットオレンジ、マットグリーン、マットブルーは10月1日から。価格は29.99ドル。

「TruFeel」は、2月4日にスタンダードホワイトと蛍光イエローが発売。マットレッドは10月1日から。価格は24.99ドル。