2022年オデッセイパター探究の旅第二弾へようこそ。第一弾では「ホワイトホット OG」「トゥーロンデザイン」パターについて取り上げた。

今回は2022年オデッセイ「ELEVEN(イレブン)」と「TRI-HOT 5K(トライーホット5K)」について探っていこう。

これでオデッセイは真に“新たな呼び名“を獲得することになる。今回のパターの中にはオデッセイのクラシックなヘッド形状を持つものもあるが、いずれのモデルもオデッセイのデザインの新たな方向性を示すものだ。

詳細に移るとしよう。前作オデッセイ「TEN(テン)」と同じく、オデッセイ「ELEVEN」マレットも独自素材と新形状を採用している。先入観を与えないように「TRI-HOT 5K」について説明すると、「TRI-HOT 5K」は2010年発売の「TRI-HOT」の復刻版ではない。

チタンパターをお探しだとしたら、残念ながら「TRI-HOT 5K」の大部分はメタル製だ。

まずはオデッセイ「ELEVEN(イレブン)」について詳しく見ていこう。


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高MOI、浅重心

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では、オデッセイ「ELEVEN」の核心に迫るとしよう。この四角い箱型のマレットはその哲学に大幅な転換が見られる。それは「重量哲学の転換」である。長年にわたり、慣性モーメント(MOI)を高めるためには重量をエッジ(端)や後方に配分するという戦略がとられてきた。

これは、プラスチックのような軽量素材をパター中央部に、そしてより重い金属構造をエッジに使用することによって実現されてきた。もうひとつ実証済の戦略は余剰重量をトウ・ヒールへ、特にソール後方部にもってくることだ。

オデッセイ「ELEVEN」は、「MOI」を増幅するレシピをいくつか受け継いでいる。パターの中央部は軽量ポリマーで構成され、スチールとアルミニウムは、スチールウエイトと同様に周辺に配置されている。

だがオデッセイ「ELEVEN」では、これらのウエイトはソール後方部のトウ・ヒールではなく、ソール前方のトウ・ヒールにスチール製のウエイトとして搭載されている。


ちょっと待て。今度はウエイトが前方にきたって?

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結局のところ、「MOI」だけがマレット型パターの肝ではない。MOIを最大にすることで、ストローク中のヘッドのねじれを防ぐことはできるが、同時にそれが問題でもある。重心を後方へ押しやると、パターの回転特性にも影響を与えるからだ。

オデッセイの開発チームが高MOIマレットパターのミスの傾向を調査した結果、ほとんどが“右に出る”ミスだということがわかった。基本的に、深重心(GC)はインパクト時にフェースが閉じるのを防いでくれるものだ。

つまりパットを決めるにはカップの左を狙う必要がある。確かに、常に右に外しているなら意図的に左を狙って打てばいいかもしれない。中には、狙い通りに打ったつもりでも実は無意識にそうやっている人もいるだろう。しかしそれでは本末転倒。

右へのミスを撲滅するためにオデッセイが考え出した解決策が、重量と重心位置を前方へ移動させることだった。


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パターの分解図を見ると、重い部品がすべて前面にあるのがわかるだろう。さらに詳しく見てみると、重量は主にヘッド前方のトゥ・ヒール部分に位置していることがわかる。

「ホワイトホット」インサートは、インサートが周辺のスチールより軽量であることから、同様の効果をもたらしている。フェース中央部は軽く、エッジは重くだ。

2022年オデッセイ「ELEVEN」パターが目指したのは、「MOI(寛容性)」を高めるためのエッジの重量と、ターゲットに対して真っ直ぐに構えるための前方への重心配置との完璧なバランスを導き出すことだった。


オデッセイパターのアライメントオプション

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オデッセイ「TEN」から引き継がれた特徴のひとつは、アライメントの選択肢だ。中央がわずかに隆起しているため、「2-BALL」のアライメントには向かないだろうが、「ELEVEN」には「TOUR LINE(ツアーライン)」と「TRIPLE TRACK(トリプルトラック)」がある。

2021年に「2-BALL」の「TEN」を買い損ねたとしても、2022年も引き続き入手可能なのでご安心を。

オデッセイ「ELEVEN」は赤い「STROKE LAB(ストロークラボ)」シャフトを採用、オデッセイブランドの「PISTOL(ピストル)」グリップまたは「オーバーサイズ」グリップが純正となる。

いずれのモデルも「ダブルベントネック」または「スラントネック」を選択可。希望小売価格は299.99ドルだ。


オデッセイ「TRI-HOT 5K(トライーホット5K)」パター

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オデッセイから5,000ドルのパターシリーズだって?それは一大事だ!という冗談はさておき、ここでいう「5K=5,000」はそういう意味ではない。この名称にある「5K」はオデッセイの「TRI-HOT 5K」パターのすべてに備わるMOI(慣性モーメント)の数値が5,000を超えていることを表している。

この「5,000」とはかなりとんでもない数値であり、なぜそれが一大事なのか?最近のマレットパターの標準的なMOI値が5,000以上だと言えばわかるだろうか?

これは全て「ブレードパター」の話だって信じられる?


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さて、MOI値5,000超えのブレードパターなら以前にも見たことがあるという方もいるだろう。確かに私も見たことがある。だが、そのほとんどはブレードの“魂”を持っているというだけ、その他ピン(PING)のカーステンシリーズ「ANSER(アンサー)型」とは似ても似つかぬ代物だった。

どんなパターを“ブレード”と呼んでも差し支えはないが、ほとんどの高MOIブレードの見た目は「ブレード型」からは程遠い。もしも“ブレード試験”というものがあったらほとんどが落第するだろう。

その点、オデッセイの「TRI-HOT 5K」パターはきちんと「ブレード型」に見える。まあ「TRIPLE WIDE(トリプルワイド)」に関してはかなり厳ついブレードだが、他のモデルはすべて昔ながらのブレード型の定義に収まるものだ。

異論が出るとすればスコッティ・キャメロンの「BULLSEYE(ブルズアイ)」とウィルソンの「8802」しかブレードと認めないという人からのみだろう。その他の我々にとっては、これらはどこから見てもブレードパターだ。





ブレード形状なのに数値はマレット

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では、オデッセイはどのようにしてブレードの形状のまま「MOI(寛容性)」を高めることができたのか?従来大型のマレットパターにしか実現できないこの5,000という慣性モーメントの数値を、オデッセイチームはヘッドを巨大化させる代わりに、素材を工夫することでMOIを高め、再び重心を前方に移動させた。

それを可能にした主要な要素がタングステンだ。それも大量のタングステン。

パターヘッド重量の3分の1近くがタングステンで、ヘッド前方のトウ・ヒールに配置されている。「ホワイトホット」インサートは「ELEVEN」でも同様に、重量配分を周辺部に持ってくるのに役立っている。取り外し可能なウエイトは前方のトウ・ヒールにもある。これらのウエイトもタングステンで作ることができる。


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パターヘッド後方のフランジ部分には、ヘッド前方のステンレススチールよりも比重の小さいアルミニウムを採用。この軽量素材はヘッド形状を完成させるためと、ウエイトバランスを前方に移動させる役割も果たしている。


2022年オデッセイ「TRI-HOT 5K」設計は次の大きな流れとなり得るのか?

“この見た目のパターでこの性能は普通あり得ないよ” – ショーン・トゥーロン(オデッセイ「トゥーロン」パターのデザイナー兼プロデューサー)

これは、オデッセイ「TRI-HOT 5K」についてのオデッセイのデザイナー、ルーク・ウィリアムズ氏とショーン・トゥーロン氏の会話を聞いていたときに耳に飛び込んできた言葉だ。彼らはこのパターのラインナップにかなり興奮している様子だった。

というか、毎年新しいモデルに興奮しているわけだが…。優れた設計者や宣伝担当者なら誰しもが興奮するというものだろう。だが今回の「TRI-HOT 5K」には、その興奮度合いが増しているように感じる。

ここ数年、新製品が出る度にオデッセイのスタッフと話をするのだが、今回は特に激しい“ワクワク感”が伝わってきた。


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オデッセイには、彼らの興奮を正当化するいくつかのデータがある。オデッセイの開発者が2022年の「TRI-HOT 5K」パターに似たタイプのスコッティ・キャメロンのブレードパターと比較した結果、アマチュアのテスターたちは、方向性が20%よくなり、距離制御が15%向上したという。

これは、「TRI-HOT 5K」を使用することでラウンドごとに約1ストローク減らせることを意味する。

この1ストロークに「TRI-HOT 5K」の希望小売価格399.99ドルの価値があるかどうかの判断は任せるが、ツアープロの場合、1ラウンドで1ストロークに満たないほんの欠片だけでも減らせるということは、数千ドルの価値に値する。

数ヶ月後の2022年『ブレードパターランキング』で「TRI-HOT 5K」がどこまで健闘するのか。自身の経験とオデッセイのこれまでのランキング実績から、ルークとショーンが今年送り出したもの以外にお金を賭けるかどうかはなんとも言えない。



オデッセイは浅重心(前重心)で進み続けるのだろうか?

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オデッセイは今年、「浅重心(前重心)/高MOI」計画に賭けていると言っても差し支えないだろう。2022年のオデッセイは「ELEVEN」も「TRI-HOT 5K」も「トゥーロンデザイン」もすべてこの設計理念に基づいている。危険な賭けだって?そうかもしれない。

ゴルファーがこの新計画に拒絶反応を示したらどうなるか?従来の設計を好むゴルファーには「ホワイトホットOG」があるとはいえ、2022年の売上の大部分はこの新たな設計理念が受け入れられるかどうかにかかっている。

ご存じの通り、浅重心設計を取り入れた他社の首尾は様々だ。クリーブランドゴルフの「フロントライン」パターは同様の設計だった。オデッセイの最大のライバル、テーラーメイドは「スパイダーFCG」パターで重心を前方に移動させたが、翌年には従来の重心位置に戻している。

だが、「TRI-HOT 5K」ならば、過去の浅重心設計パターが迎えた結末と同じにはならず、オデッセイの試みは市場に定着するかもしれない。

前述したように、2月4日に発売されて、2022年のパターランキングでの健闘ぶりを見ればすぐにわかることだ。結果が今から楽しみだ。


2021年がオデッセイパターにとって重要な年となった理由

2022年のオデッセイパターが店頭に並ぶのを待つ間、2021年のオデッセイについておさらいしてみよう。

・オデッセイが「ホワイトホット」インサートを復活させた

・オデッセイの「TRIPLE TRACK 2-BALL」が2021年マレットパターランキングの1位を獲得

・「STROKE LAB」シャフト装着のオデッセイ「WHITE HOT OG #1」が2021年ブレードパターランキング1位を獲得

・2021年、総合1位を獲得したのはどちらのオデッセイパターか